先日、NPO法人MiraiKanaiが企画する番組「ミラクルモンスター」に、ポニーテールリボンズのポカ=ユイチンさんをゲストとしてお迎えしました。そのユニークなキャラクターと活動の裏側に迫る、興味深いお話の数々をお届けします。

ポカ=ユイチンとリトル=コフスキーを中心に2004年に結成。巷でうわさのハイパークリエイティブユニット「ポニーテールリボンズ」!!
結成当初はバンド形態だったが3回のスタジオ後ネットサーフィン中毒になってしまう。 楽器の代わりに彼らが手にしたのはパソコンとシーケンサー。 むさぼるようにマウスをクリックし、カラフルな楽曲たちを制作。
初ライブでは笑撃のライブパフォーマンスで観客を感動?の渦に巻き込んだ。
2005年には新メンバー、マイケル=T=MAXが加入。
J-POP、テクノ、R&B、ロック、パンク、電子系、民謡、フォーク、民族系、etc… ジャンルを超越したサウンドで多くのファンを魅了している。 沖縄音楽シーンの異端児!! その可能性はまだまだ未知数である。
ポニーテールリボンズ
http://www.ponytailribbons.com/index.php
異色のキャリアと音楽への道
イ: 本日はよろしくお願いします!早速ですが、現在の主な活動について教えていただけますか?
ポカユイチン: はい、よろしくお願いします。今は東京で、渋谷のハチ公前に記念撮影で並ぶ外国人観光客の方々の列を整理する仕事を主にやっています。言葉が通じにくい方もいるので、列が交差点まで伸びないように調整したりしています。
イ: ミュージシャンとしての活動とはまた別に、様々なご経験をされているとお聞きしました。社会に出てからの一番最初の仕事は何だったんですか?
ポカユイチン: 一番最初は、人の家のポストにサンプルシャンプーを入れていく仕事でしたね。
イ: 以前には、ひよこのオスとメスを見分けるお仕事もされていたとか?
ポカユイチン: (笑)そうみたいですね。なぜアンケートにそう書いたか覚えてないんですが。でも、ひよこは本当にそっくりなので、あれを見分けるのは属人性が高くて難しい仕事なんです
イ: 多彩な経験を経て、音楽活動を続けようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
ポカユイチン: きっかけの一つは、昔受けたオーディションですね。履歴書に「ユイチン」と書いたら、面接官に「変な名前だ」と怒られて。それが逆に、この活動を続けていこうと思うきっかけになりました。
幅広い楽曲提供活動
イ: ポニーテールリボンズとしての活動だけでなく、楽曲提供も積極的に行っているそうですね。
ポカユイチン: はい。例えば、平川美香さんには「おじさんサンバ」や「天使にデブソング」を提供しました。「おじさんサンバ」は、ライブでもよく歌って踊ってくれているみたいです。
イ: 他にはどのような提供先があるのでしょうか?
ポカユイチン: 昔、レンタルビデオのゲオにアイドル部があったんですが、そこにも提供していました。最近だと、お菓子の「パチパチパニック」のテーマソングも担当しました。
イ: 「パチパチパニック」!あの曲もですか!有線やお店のBGMでよく耳にします。
ポカユイチン: そうなんです。MVにも出演して、実際に工場で撮影もしました。ありがたいことにテレビでも取り上げてもらって、YouTubeでも観られるようになっています。
音楽制作の舞台裏:「降りてくる」から「絞り出す」へ
イ: 曲作りはどのように行っているんですか?
ポカユイチン: 大きく二つのパターンがあります。活動を始めた頃は、頭の中にメロディーが「降りてくる」ことが多かったですね。アイデアがどんどん湧いてくるんですが、それを実際の音にするとイメージとズレる難しさがありました。
イ: もう一つのパターンは?
ポカユイチン: 今は経験を積んだからか、頭で鳴ることが減って、「絞り出す」パターンが多くなりました。6〜8時間くらいずっと座って、音を出しながら形にしていく感じです。アイデアが出てこない時もありますよ。
イ: 制作で行き詰まった時はどう対処するんですか?
ポカユイチン: 悩みすぎると音楽が嫌いになっちゃうので、あまり悩まないようにしています。自分の気持ちは一旦置いておいて、まずは形にしてみる。その後に採用するかどうかを決める、というスタンスです。
イ: 楽器もご自身で演奏されるとか。
ポカユイチン: レコーディングではギター、ベース、キーボードは大体自分で弾きます。ギターは今5本くらい使い分けてて、ウクレレやベースも。コロナ禍からはピアノも始めて、今、家で「ゲット・ワイルド」のイントロを5年かけて練習していて、もうすぐ弾けそうです(笑)。
表現における「面白いギリギリ」の追求
イ: ユイチンさんの表現には、「面白いギリギリ」を追求する哲学があるように感じます。
ポカユイチン: 想像は自由ですが、社会で表現するには「怒られる」「嫌われる」といった線引きがありますよね。でも、それを恐れて萎縮すると面白いものは作れない。だから、まずはリミットを外して作ってから、後で社会の線引きと照らし合わせて判断するようにしています。
イ: 時代によって、その「線」も変わってきますよね。
ポカユイチン: まさに。昔作った「さよなら草食系男子」という曲も、今では男女を分ける考え方自体が問われるかもしれない。おニャン子クラブの曲や「夏の日の1993」も、当時はみんな楽しく歌っていたのに、今では違う意見も出てくる。そうした変化に萎縮せず、人を傷つけないという前提で、自分が面白いと思うことを楽しく続けたいです。
イ: 実際に、発表する際に判断が分かれた曲はありますか?
ポカユイチン: ユニバーサルから出した「金玉の歌(キラキラ金曜日)」は、レコード倫理委員会はOKだったのにラジオでは流してもらえませんでした。逆に「おっぱいの歌」はOKだったり。基準は本当に色々ですね。あとは社会情勢を考えて、国際問題になりかねない「ぽっちゃりゴルバチョフ」という曲は、戦争が始まってから歌わないようにしています。
音楽を「仕事」にしない理由と今後の展望
イ: ポニーテールリボンズの活動は「仕事」にしないように意識しているそうですね。
ポカユイチン: はい、なるべく「遊び」の感覚でやっています。人に提供する曲は仕事として責任を持ちますが、自分の作品は納得いくまで自由に、納期もあまり考えずに取り組みたいんです。
イ: 活動のモチベーションは何でしょうか?
ポカユイチン: 子供たちの反応は大きいですね。彼らは見た目とか関係なく、純粋に「面白い曲だ」と感じて最前列で踊ってくれる。お酒のイベントなのに、前が子供だらけだったこともあります。
イ: 今後の目標について教えてください。
ポカユイチン: 特に大きな目標というのはなくて、「長く続けていきたい」という気持ちが一番強いです。ライブに来てくれる人が楽しんでくれて、辛くなった時に戻ってこられる場所であり続けたい。60歳を過ぎても、あのヤバい格好でステージに立っているのが理想ですね。
イ: 沖縄から東京へ拠点を移したのも、その思いと関係が?
ポカユイチン: そうですね。沖縄にいた頃はメディアに出る機会も多く、活動に良い意味での緊張感がなくなってきたと感じて。それで東京に出て、ゼロからやり直すような経験をすることで、また緊張感を持って活動できています。
ユニークなスタイルと今後の告知
イ: 最後に、そのトレードマークの衣装について教えてください。
ポカユイチン: 色々なロックスターを意識しています。ズボンはB’zの稲葉さん、服はエアロスミス、メガネはクイーンのフレディ・マーキュリー。そして、この出ているお腹はオージーオズボーンを意識して、体型を維持しています。
イ: 今後の活動予定はありますか?
ポカユイチン: はい、8月に沖縄でお笑いと歌を融合したイベントライブをします。オリジンコーポレーションさんと一緒に行うイベントで、今回で3回目になります。詳細はウェブサイトをチェックしてみてください。

イ: 多角的で面白い活動と、それを支える独自の哲学、非常に興味深かったです。本日はありがとうございました!
ポカユイチン: ありがとうございました!