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【インタビュー】地球滅亡の予言が人生を変えた⁉ 「魂はうちなーんちゅ」と語る自然ガイドの挑戦


はじめに:
NPO法人Mirai Kanaiが配信する番組『ミラクルモンスター』ブログへようこそ。今回は、幼少期の地球滅亡予言から始まり、沖縄の自然を守り育む活動に人生を捧げる自然ガイド、小林さんのユニークなキャリアと哲学を深掘りします。彼の経験と情熱から生まれた、未来につながる示唆に富んだブログタイトル候補をご紹介します。
Youtubeはこちら:https://www.youtube.com/watch?v=Ja8GUDE6HHo


ゲストプロフィール:小林政文
がじゅまる自然学校(沖縄県名護市)
自然や旅をオンラインで。自然体験エコツアーを中心に活動
HP:https://www.wens.gr.jp/gajumaru/
インスタ:https://www.instagram.com/gajumaru_nature_school?igsh=MXdvNWt2dXl6Z2wxbA==


NPO法人Miraikanaiがお届けする「ミラクルモンスター」、今回は自然と共に生きることを選んだ環境保全活動家、小林さんをゲストにお迎えし、そのユニークなキャリアストーリーと未来への展望を深掘りしました。

イ: 本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、リスナーの皆さんに今どんな活動をされているか自己紹介をお願いします。

小林: はい、私はホールアース自然学校名護ガジュマル自然学校という団体で活動しています。主な活動は大きく分けて3つあります。1つ目は「エコツーリズム」、つまり自然体験です。沖縄を訪れる中高生や観光客の皆さんに名護の自然を案内し、「自然って楽しいな、綺麗だな、大切にしたいな」という気持ちが芽生えるような活動をしています。

2つ目は「人材育成」です。1982年創業のこの団体は自然体験のノウハウが豊富なので、ガイドさんの育成や、地域と連携して自然体験プログラムを作る活動もしています。3つ目は「環境保全」で、ビーチクリーンや、参加者を連れていく場所のゴミ拾いなど、地域と一緒に自然を守る活動をしています。

私は静岡県富士宮市の富士山麓で生まれ育ちましたが、2005年に沖縄に転勤してきて、もう20年になります。沖縄で一番長く暮らす土地になりました。沖縄育ちの後輩と結婚し、今は3人の子供たちも名護の学校に通っています。私は「魂はうちなーんちゅ(沖縄の人)」だと思っています。

イ: 20年ですか!もう「うちなーんちゅ」と言っていいですね。幼少期はどんなことに興味をお持ちでしたか?

小林: 私と同年代の人なら共感してくれると思いますが、昔「ノストラダムスの大予言」が流行し、1999年に地球が滅亡するという予言がありました。私は1978年生まれなので、20歳くらいで地球が滅亡するという幼少期を過ごしたんです。テレビでも環境破壊に関する特集が多く、少年だったので「地球を守らなければならない」という気持ちが根本にありました。

もう一つは、自分自身が自然体験が好きだったことです。特別な自然ではなく、学校の帰り道の草むらや小川など、身近な自然で虫を捕まえたり、道なき道を開発したりと、ごく当たり前の小学生と同じようなことをしていました。親の田舎が静岡県の山奥で、母親の実家は長野県の本当に山奥の村だったので、夏休みにはダイナミックな自然体験をさせてもらいました。それも良い思い出です。

イ: 小林さんの当たり前の自然体験が、今の子供たちにとっては遠いものになっている気がします。社会に出て、最初に選んだお仕事はどんな感じでしたか?

小林: 自然を守りたいという思いで、中学の頃から環境関係の仕事に就きたいと考えていました。大学で環境を学べる学科に進学しようと調べましたが、当時はインターネットがなく、図書館で本を調べても「環境」という名前の学科は全国に2、3個しかありませんでした。その中の一つ、箱根駅伝で有名な東洋大学の環境を学べる学科に進学しました。

4年間学び、いざ就職しようとした時に大変困りました。当時は就職氷河期で、環境省のような仕事はありましたが、東京大学の学生がライバルになるような状況でした。私は青年海外協力隊にもチャレンジしましたが、これも落ちてしまいました。

卒業間近に、大学の掲示板で見つけたのが「マンションデベロッパー」の求人でした。環境共生住宅のデザインも学んでいたので、「これは近い」と自分に言い聞かせて就職しました。営業の仕事で、最初は楽しかったのですが、毎日始発で出勤し終電で帰るような生活で、ふと「こんなに一生懸命頑張るなら、もっと自分の好きなことで頑張った方がいいんじゃないか」と思うようになりました。

イ: 夢とやりがいの乖離、多くの人が抱える課題だと思います。そこからどのように今の仕事に近づいていったのですか?

小林: ある日、朝起きたらもう昼だったんです。会社に行かなければならないのに。これはもしかしたら心が悲鳴をあげているのかもしれないと思い、好きなことだったらもっと頑張れるかもしれないと転職を考えました。

次に就職したのは、環境アセスメントを行う環境コンサルタント会社です。道路開発などの際に環境への影響を調査・予測・計画する仕事で、騒音や振動の調査などを行いました。この仕事を通じて、自然に近い仕事の情報がどんどん入るようになり、自分の地元にそのような活動をしている団体があることに気づきました。この仕事も楽しかったですが、24時間調査をするなど、体力的にも厳しく責任も大きかったため、もっと自分に正直にできる仕事として今の団体に進むことを決めました。

いきなり今の仕事に変わったのではなく、少しずつ近づいてきた感じです。自分でやってみて初めて、本当にそれが好きなのかどうかが分かりました。

イ: これまでの経験から得たものや、やってよかったと感じることはありますか?

小林: 今の仕事はとても楽しいのですが、実はその前の経験もかなり活かされています。マンション営業の時は「達成力」のようなものを得られましたし、環境調査の時は環境に関する実践的な知識を学べました。

そして今は何が良いかというと、やはり「自然が好き」という共感が生まれ、仲間が増えていく感覚がとても良いです。営業の時は「いりません」と言われることもありましたが、今の仕事では「ありがとう」と言われる瞬間が多いんです。心から嬉しいと感じます。

イ: 現在、親子向けの自然体験イベントをされているそうですが、醍醐味を教えてください。

小林: 先日、名護の川遊びで親子自然体験イベントを行ったのですが、初めは怖くて滝に一人で打たれない子供を、背中に乗せて一緒にやってみたら、安全だと分かって一人で行けるようになるんです。この「できないことができるようになる」瞬間を目の前で見れるのが面白く、とても嬉しいです。

イ: 逆に、大変だと感じることはありますか?

小林: たくさんあります。川遊びの場所には多くの人が様々な目的で訪れますが、私たちが普段使っている場所には、ライフジャケットの着用、ペット同伴禁止、喫煙禁止、大音量での音楽再生禁止など、地域とガイド仲間で共有し掲示している共通ルールがあります。しかし、残念ながらそれらを守らない人も多くいます。

私たちは地域側なので、マナーの悪い人が集まったりゴミを捨てたりすると、直接的に困りますし、地域住民からもそのような声を聞きます。自然は、人が本来ずっと守り、作ってきたものです。川への道があるのも、昔から川を利用してきた地域の人々が使いながら守ってきたからです。

その感覚が分かりにくくなっていて、SNSなどで「穴場だ」「ここがいいぞ」といった情報が拡散されることで、人が集まりすぎたり、使い方のマナーが悪くなったりすることがあります。これは本当に地元に住む方々の「財産を搾取している」ような行為だと感じます。沖縄には「自然にはお邪魔させていただく」という本来の気持ちがあるので、皆でその気持ちを取り戻したいです。

SNSでの拡散は誰のためか、フォロワーを増やすためではないかと感じます。地元は拡散されたいと思っていないのに、なぜ拡散したいのか、と。車を農家さんのトラックが入れたい道に止めてしまうなど、具体的な問題も発生しています。

イ: 今のお仕事をされる中で、これだけは譲れないというものはありますか?

小林: 自然は誰のためのものでもなく、皆に平等なものだと思っています。だから、私は「来るな」と思う半分、「来てちゃんと遊んで帰りなさい」という気持ちも持っています。今の沖縄の美しさを、まだギリギリ保っているものを、将来の世代まで残す努力をしたいです。

開発についても、コンクリートで固めるのではなく、自然に優しい開発や、環境保全でお金が稼げる仕組みができたらと考えています。

もう一つ大事だと思うのは、幼少期の自然体験です。私たちが自然を見て「美しい」と感じるのは、何億年もの歴史の中でご先祖様から送られてきた遺伝子の信号だと思います。水を見て美しいと思うのは、昔から水に命を助けられてきたからです。それは遺伝子で自然にバトンが繋がれているものです。だから、子供たちに託していくことしかないと思っています。小さい頃にたくさん綺麗なものや怖いものに触れてもらい、そのバトンを繋いでいけるように、子供の教育が重要だと考えています。

イ: ガイド業を教育と観光の最前線と捉えられているのですね。今後の目標などがあれば教えてください。

小林: はい、ガイド業がちゃんと職業として認知されたり、子供が将来なりたいと思うような仕事になったらいいなと思っています。そのために様々な挑戦をしています。現在は「奄美沖縄ガイドネットワーク」という活動をしています。琉球弧と呼ばれる奄美から西表くらいまでの地域は、2000万年前くらいに大陸から離れた経緯があり、植生や生態系が似ています。観光客から見ても、沖縄も奄美も宮古も石垣も同じように見えます。

私たちは、ガイドという小さな存在ですが、地域ごとに活動しているガイドたちがまとまって、日々情報交換をしたり、情報をアップデートしたり、お互いにお客さんを紹介し合って業界を共に作っていきたいと考えています。月に一度勉強会もしています。

この活動はコロナ禍にスタートしました。コロナ禍で沖縄が休業要請を出した際、協力金が支払われましたが、私たちガイド業は「業種」として認知されていなかったため、補助の対象外だったんです。これは皆が困った大きなきっかけでした。だからこそ、業界として認知してもらい、将来憧れられる職業になるように頑張りたいという目的も持ちながら、皆で集まって情報交換をしています。

このネットワークは、あえて法人化せず、超フラットな連絡会のような形にしています。過去に組織を運営してうまくいかなかった経験もあるので、今は「誰のものでもない」という形で活動しています。

イ: ガイドの仕事や自然を守る仕事に就きたいと思っている方々に、メッセージをお願いします。

小林: 学べる大学は増えていますが、残念ながら実際に「働ける場所」はまだそんなに増えていません。私たちのようなエコツーリズムや環境教育を専門とする団体は沖縄県内でも少なく、なかなか働き口が見つからないという課題があります。

しかし、それでも働こうと思えば道はあります。私たちはあまり利益を追求しない仕組みでやっているため、求人広告が出せなかったりするのですが、まずは「ボランティアリーダー」として募集している団体にコンタクトを取ってみるのが一番良いと思います。ガジュマル自然学校はもちろん、読谷自然学校、ちゅら島自然学校、猫のワクワク自然教室など、様々な自然系の団体があります。

私自身も、活動を通じて情報が増え、視野が広がり、新たな情報をキャッチできるようになった経験があります。ボランティアを通じて、ガイドが本当に自分のやりたい仕事なのか、あるいは研究者や先生、役所のスタッフ、水族館のスタッフなど、別の道があるのかが分かるかもしれません。まずは一緒に自然体験のボランティアをしたり、活動に参加したりすることが一番です。

イ: 小林さんの活動に興味を持ったリスナーがいたら、どのようにコンタクトを取れば良いでしょうか?

小林: 「ガジュマル自然学校」と検索してみてください。Instagramやホームページで、親子自然体験やツーリズムリーダーなど、参加や手伝いのページも作っていますので、そこで交流できればと思います。

イ: 親子自然体験は毎月開催されているのですね。

小林: はい、毎月1回、主に土曜日に開催しています。今月は川遊びをしましたが、来月はカヤックか川遊びか迷っています。名護の親子自然体験というInstagramアカウントでも情報を公開しているので、ぜひご参加ください。私が一人でやるので、限定数組になってしまいますが。

イ: 本日は大変貴重なお話をありがとうございました!

小林: ありがとうございました!

NPO法人Miraikanaiは、小林さんのようなユニークなキャリアを持つ人々を応援し、その活動を通じて皆さんの日常に新しい発見やワクワクをお届けできるよう、これからも様々なゲストをお招きしていきます。小林さんの話から、子供たちの成長に焦点を当てた活動の重要性、一人一人への深い関わり方、そして教育活動と組織運営の連携強化の必要性を改めて感じました。また、ラジオ番組の内容は今後、記事やYouTubeに掲載し、公教育の授業に活用する方法も検討していく予定です。

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