記事一覧

【インタビュー】子どもの「光る可能性」を引き出す!言語聴覚士ふーさんが語る「自分らしさ」と「五感」の育み方

はじめに

皆さん、こんにちは!NPO法人Mirai Kanaiがお届けする「ミラクルモンスター」のブログ版へようこそ。この企画では、ユニークな経歴や珍しいお仕事を持つ素敵なゲストをお招きし、その方のストーリーや考え方、夢中になっていることを深掘りしていきます。読者の皆さんの日常に、新しい発見やワクワクをお届けできたら嬉しいです。

今回は、子どもたちと関わる「言葉の先生」として活躍されている言語聴覚士(ST)のふーさんに、そのお仕事の魅力や、子どもたちの「自分らしさ」と「五感」を育むための哲学について、たっぷりお話を伺いました。彼女の温かい視点と情熱に満ちたお話から、きっと皆さんの心にも新たな光が灯ることでしょう。

ゲストプロフィール

子どもと関わることばのせんせい
ふーさん

職業: 言語聴覚士(ST)
キャリア: 言語聴覚士として15年目を迎え、現在は開業して4年目のフリーランスSTとして活動されています。
活動範囲: 沖縄県内だけでなく、オンラインでも全国、さらには海外在住の日本人家族にも言葉のお勉強や関わりを提供されています。
支援対象: 0歳から子どもたちの発達に関する様々な困り感をサポート。「発達でこぼコ才能さん」と呼び、子どもの「光る可能性」を引き出すことを大切にされています。
専門分野: 言葉の遅れ、発音の苦手、読み書き困難(学習障害LD)、コミュニケーションの課題、場面緘黙症、ADHD、自閉スペクトラム症など、多岐にわたる困り感を持つ子どもたちへの支援を行っておられます。
活動哲学: 「自分らしさ宝物」を最も大切にし、子どもたちが安心安全な環境五感(味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚)をフル活用しながら、遊びの中から楽しく学ぶことを重視されています。
今後の目標: 言語聴覚士(ST)という職業の認知度向上に努め、マルシェへの出展や情報発信を積極的に行われています。また、世界中の人々と繋がり、世界平和に貢献したいという大きな夢を持っておられます。

公式リンク:
Instagramhttps://www.instagram.com/fusayo_st_heart/
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=D51JjQItIU4
ホームページ リニューアル中近々公開予定!

イ: 本日は「ミラクルモンスター」にご出演いただきありがとうございます。まずはふーさん、現在の活動についてリスナーの皆さんに自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

ふーさん: はい、ありがとうございます。私は子どもと関わる「言葉の先生さん」として、言語聴覚士を始めて15年目になります。現在は開業して4年目で、フリーランスのSTとして県内やオンラインで言葉のお勉強などに関わらせていただいています。よろしくお願いします。

イ: 「言葉の先生」というのは、具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?

ふーさん: 言語聴覚士(ST)は、スピーチ・ランゲージ・ヒアリング・セラピストの略で、言葉、言語、聞こえ、お食事の飲み込み(嚥下)、コミュニケーションの専門家です。リハビリの分野で活動することが多いのですが、私は主に子どもの分野で関わっています。0歳から視野に入れているのですが、子どもたちのことを「発達でこぼコ才能さん」と呼んでいて、言葉がなかなか喋れない、発音が苦手、お友達と仲良くできないなど、困り感があるお子様と関わらせていただいています。

イ: なるほど。子どもたちの「困り感」に寄り添うお仕事なのですね。なぜ、STになろうと思われたのですか?

ふーさん: きっかけは自分でも驚きなのですが、33歳の時にネットカフェでこの資格を知りました。それまでは語学留学をしていて、英語を使った仕事をしていました。
当時は就職について悩んでいたのですが、勉強したいという思いから資格を探していて、言語聴覚士という言葉にパッと目が止まったんです。その内容を見てみると、私が学びたいことが全て入っていたんですよ。
「人って何だろう?」「なんで話せるんだろう?」といった問いの答えが、脳や人体に関する学びの中に全部詰まっていると感じて、「これだ!」と思ってすぐに専門学校に通いました。33歳で決断し、34歳か35歳で専門学校に入学しましたね。

イ: まさに運命的な出会いだったのですね!幼少期や学生時代に、今の活動につながるような体験はありましたか?

ふーさん: 子どもの頃は本当に天真爛漫で、何に対しても感動していましたね。大人になってから周りの人に「いつも子どもたちが寄ってくるね」と言われるようになったのですが、私自身は全く気づいていませんでした。
基本的には遊びながら接することが多いですね。きっと子どもたちと波長が合うのでしょう。英語を使っていた頃も、発達に困難があるお子さんたちのスクールバスのリーダーをしていた経験があり、今思えばこれも縁で、今の仕事にもつながっていると感じます。

イ: ふーさんの温かい雰囲気が、子どもたちを引きつけるのかもしれませんね。STというお仕事は、PT(理学療法士)やOT(作業療法士)に比べて、まだ一般に認知度が低いと感じるのですが、いかがでしょうか?

ふーさん: まさにそうなんです!私もSTの認知度が低いと感じていて、それがきっかけで最近はマルシェに出展し始めるようになりました。困り感を持っている子どもたちや親御さんはたくさんいるのに、STという存在を知ってもらえない、見つけられないという現状があると感じています。
病院に行けば出会うことはあるけれど、普段の生活ではなかなか接点がないですよね。だからこそ、「こういう人がいるよ、こういうことをするんだよ」ということを知ってもらいたいと思って、積極的に表に出る活動をしています。

イ: マルシェでの活動、素晴らしいですね!具体的にどのような困り感を持つお子さんをサポートされているのですか?

ふーさん: 私が「発達でこぼコ才能さん」と呼んでいる子どもたちで、具体的に障害名を挙げると、ADHD、自閉スペクトラム症で言葉が全くない、またはこだわりが強い子、場面緘黙症(家族とは話せるけれどそれ以外の人とは話せなくなる)、言語発達遅滞で全体的に言葉が緩やかなお子さん、そしてLD(学習障害)で読み書きに困難があるお子さんなどがいます。あとは、発音の改善をしたいというお子さんもですね。STは本当に幅広く関わることができるんです。

イ: 読み書きに困難があるお子さんには、どのようなサポートをされているのでしょうか?

ふーさん: 日本語の読み書きはひらがな、カタカナ、漢字と非常に高度なことをしているので、言葉や言語のカバー範囲が広いんです。例えば、読み書きが苦手な場合でも、聴覚的に理解できるのであれば、それに合わせた個別特性に特化したサポートをしていきます。
書くことに困難がある場合、例えば自分の名前を書く練習でも、私はまず書き順から教えることはしません。その子が「ふー」という3つの音の名前を認識し、その上で「点がここにあって、こうやって、こうやって…」というように、文字のバランスや、鉛筆を持つ手と見ている先の関係性まで細かく見ていきます。本当にその子にとっての「一番最初のステップ」から、丁寧に見ていくことを大切にしています。

イ: とても丁寧で優しいアプローチですね。ふーさんがこのお仕事で一番大事にされていることは何ですか?

ふーさん: 私が一番大切にしているのは、子どもたちが持っている「光る可能性」と「自分らしさは宝物」です。
誰もが唯一無二の存在で、それぞれに持って生まれた「光」があると思っています。それが成長するにつれて、人の目が気になったりして、自分の光を曇らせてしまうことがある。そうなる前に、「あなたはそのままでいいよ、大丈夫だよ」と伝えたい。それが私の原動力になっています。
あとは、子どもたちは楽しくないと声も手も足も出なくなってしまい、学びにならないんです。
不安や緊張がある状態では何も入ってこない。だから、安心安全を土台に、遊びの中から楽しく学ぶことを基本とし、五感をフルに活かすことを大事にしています。味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚といった感覚を、「痛い」「熱い」「冷たい」といった感じることも含めて、大切に感じてほしいと思っています。

イ: 素晴らしい哲学ですね。この仕事ならではの大変さや、やりがいはどのようなところにありますか?

ふーさん: 大変だと感じるのは、私が完璧ではないので、できない範囲は専門家の方につなげるということです。
親御さんに「この子にはここまで関わらせてもらったけれど、違う専門家のサポートが必要かもしれません」と説明するタイミングや、その伝え方には工夫と覚悟が必要です。また、子どもたちが感情のコントロール、特に力加減に難しさがある時は、私以外のサポートも必要だと感じた時期もありました。
一方で、この仕事のやりがいは、何と言っても可能性しか見えないことです。
子どもたちは本当に無限の可能性に満ちています。子どもたちが「自分の可能性って何だろう」と考えている一瞬一瞬の輝きが大好きなんです。何かにパッと興味を持って集中して遊んでいる時や、「遊びにきてくれてありがとう」と言ってくれる瞬間に、この仕事の面白さを感じます。

イ: ふーさんの目には、子どもたちの可能性しか見えていないのですね。もし、お仕事をする中で迷ったりすることがあったら、立ち返る指針のようなものはありますか?

ふーさん: 数年前に、ある病気にかかって味覚がゼロになったことがあったんです。その時は「もうこの仕事はできないかもしれない」と落ち込みました。
しばらく味も匂いも感じない日々が続いたのですが、私はよく海に行くんです。自然に触れ合うのが好きで、五感をフルに感じられる場所なので。そこで夜空を見上げながら、「このままで、味も匂いもしないけれど、じゃあ私どうしたい?」と自分に問いかけました。その時、「やっぱりこの仕事を続けたい」と強く思ったんです。
何かが失われたからといって、生きていることに変わりはない。そこから、味や匂いがしないながらも、今まで生きてきた中で覚えていた味や匂いを思い出して食事を摂るようにしました。そうしたら、1週間も経たないうちに味覚が戻ってきたんです。 だから、立ち返りたい時は、海に行ったり、自分の感覚を感じたり、自分に「どうしたい?」と問いかけるようにしています。自分の中に答えがあると感じていますし、魂に問いかけるような感覚ですね。

イ: ご自身の体験からくる深い指針ですね。ちなみに、インスピレーションを受ける本や人物はいらっしゃいますか?

ふーさん: YouTubeなどでも色々な方が発信しているので、その時々で聞きたい言葉を持つ方々からインスピレーションを受けていますね。 ただ、一番影響を受けているのは、東田直樹さんという自閉症でありながら作家さんとして活躍されている方です。彼の本は全て持っていますね。言葉がなかった彼が文字を覚え、絵本作家、そして文章を書くようになったそのストーリーは、困り感がありつつも「これが僕」と自分を表現する姿、そしてその可能性を信じ続けたお母様の存在に深く感銘を受けます。彼の言葉は本当に素晴らしく、ぜひ皆さんの目にも触れてほしいと思います。

イ: 東田直樹さんの本、私もぜひ読んでみたいと思います。それでは最後に、これからSTを目指す方や、キャリアに悩んでいる方へメッセージをお願いします。

ふーさん: はい、ありがとうございます。いつからでも、あなたの可能性は見つかります
何かを知りたい、やりたい、学んでみたいというきっかけがきっとあるはずです。だから、今何かに悩んでいても「大丈夫」とご自身を信じてほしいです。
必ず誰かがきっかけとなって現れてくるはずですし、私自身も33歳で全く違うキャリアに導かれました。
何か今つまづいていても、今の世界観から少し外れるだけでも、大きく変わってくることがあります。だから、諦めてもいいし、立ち止まる時間があってもいい。私たちは共に生きる仲間だから、一緒にやっていきましょう!と伝えたいです。

イ: ふーさん、本日は貴重なお話を本当にありがとうございました!

ふーさん: ありがとうございました!

  ふーさんの活動に関するご相談や、講演のご依頼も受け付けているとのことです。NPO法人Mirai Kanaiでは、今後もふーさんのようなユニークな活動をされている方を応援し、そのストーリーを発信していきます。




関連記事

TOP