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【インタビュー】首里城復興支援】300万円を寄付した沖縄デザイナーの仕事論。「謙虚であれ、かっこよくあれ」バンド活動のために独立を決意したデザイナーCUEさんの驚異のワンオペ経営術


はじめに

NPO法人Mirai Kanaiがお送りする番組「ミラクルモンスター」(ミラモン)へようこそ。パーソナリティのズケヤマセイラと宮城拓真です。この番組では、ユニークな経歴や珍しいお仕事をしている方をゲストにお招きし、その道の考え方や夢中になっていることを深く掘り下げ、リスナーの皆さんと一緒に応援していきます。皆さんの日常に新しい発見やワクワクをお届けできたら嬉しいです。

さて、本日のミラクルモンスターはデザイナーのCUE(きゅー)さんをお迎えしてお送りします。



プロフィール

ゲスト:デザイナーCUE(きゅー)

プロフィール :郷土愛をテーマにしたローカルブランド「REPRESENT OKINAWA」を展開しています。また、趣味の釣りから派生したデジタル魚拓制作サービスも提供しております。

URL
REPRESENT OKINAWA Online Store: https://www.represent-okinawa.net/
デジタル魚拓沖縄: https://digitalgyotakuokinawa.com/
Instagram: https://www.instagram.com/rep_okinawa/


郷土愛ブランドと最新のデジタル魚拓サービス

:早速ですが、CUEさん、現在どんな活動をされているのか自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。

CUEさん:はい。宜野湾の方に店舗を構えており、そこで「レペゼン沖縄」という郷土愛をテーマにしたTシャツを展開しています。また、釣りが趣味なのですが、その延長線上でデジタル魚拓というサービスも2年ぐらい前からやっています。

:デジタル魚拓というのは具体的にどのようなサービスなのですか?

CUEさん:お客様から送ってもらった写真をもとに、魚の汚れや傷をデータ上で直して綺麗な状態にし、原寸大にプリントして記録に残すことが可能です。従来の魚拓は魚の現物がないと難しかったのですが、デジタルであれば魚をリリースすることもできます。死んだ後の変色した魚を、生きていた状態の色に戻す補正もできます。このサービスは現在、シーランドさんやステップさんなど、県内の釣り具店とも協力しながら進めています。

:大きな魚だと大変そうですね。

CUEさん:アラミーバイやマグロなど1.5メートルを超えるサイズになると、最大サイズの大王イカは東京で外注し船便で運ばせたこともあります。大王イカだと3~4万円ぐらいかかりましたが、30〜40センチぐらいの魚であれば4,000円から5,000円で作成できます。


郷土愛ブランド「レペゼン沖縄」の展開とキャリアの始まり

:レペゼン沖縄では、市町村のTシャツを展開されているんですよね?

CUEさん:はい、そうです。沖縄県の現存する41市町村に加えて、合併で消滅してしまった17の旧市町村も含めて作っているので、だいたい60種類弱あります。

:そこまで網羅しているのは大変そうですね。なぜそこまでするんですか?

CUEさん:やはり、自分の故郷のTシャツだけ持ってきてないんだ、と思われるのがかわいそうだなと思って。南大東、伊平屋、多良間など、数は少ないですが、満遍なく揃えるようにしています。

:さて、きゅーさんのキャリアの原点について伺いたいのですが、子供の頃や学生時代は何に興味を持っていましたか?

CUEさん:外で遊んでいる間も、落書きに絵を描くのが好きな子供でした。運動も好きでバスケに没頭したりと、絵も運動もできる変わったタイプだったかもしれません。本格的に絵にハマったのは、世代的にスラムダンクを模写していた頃です。

:社会に出て最初に選んだお仕事は何でしたか?

CUEさん:広告代理店です。グラフィックデザイナーとして入社したのですが、残業が多く高速時間が長い仕事が合わないと感じ、2週間で2社辞めてしまいました。この経験が、早い段階で独立して自由に仕事をすることを夢見るきっかけになったのかもしれません。


音楽活動から生まれた独立と起業の決断

:そこから、現在のキャリアにつながる決定的なターニングポイントは何だったのでしょうか?

CUEさん:沖縄に帰ってきて就職と同時に始めたバンド「NEW TOWNER(ニュータウナー)」の活動です。バンド活動を優先したかったので、残業が多く高速時間が長い仕事は無理だと判断しました。バンド活動がなければ、自分でやってしまおうという覚悟は決まらなかったと思います。

:バンド活動のために独立を決意されたんですね。

CUEさん:デザインは活かしたいが、バンドができる時間が確保できる仕事を探していたのですが、昔はデザインのアルバイトのような仕事が非常に少なく。正社員として入らないとデザインに携われない時代だったので。それで苦労したこともあり、もう自分でやってしまおうという決断に至りました。

:合同会社を立ち上げたのは何歳頃ですか?

CUEさん:27歳の頃です。大学院まで出て、いきなり音楽をやるからバイトをする、と言っていたので、周りからは反対されました。でも、雑誌や新聞などに載るようになると、少しずつ応援してもらえるようになりました。

:音楽活動を通じて、デザインの仕事にもつながる実感はありましたか?

CUEさん:はい、音楽活動で少しずつ知名度が広がったと同時に、仕事も少しずつ増えてきた実感はあります。バンドのCDジャケットなどは自分たちでやっていましたが、他のアーティストからも依頼されることもありました。


「謙虚であれ、カッコよくあれ」ワンオペ経営の裏側

:CUEさんがお仕事をする上で、一番大切にしている価値観やモットーは何でしょうか?

CUEさん:ブランドコンセプトにしている「共同愛」をテーマにし、サブタイトルに「ザ・ローカルスタンダード」と入れているように、新しい沖縄の定番になりたいという願いを込めています。また、20代で初めてブランドを立ち上げた時のコンセプトである「STAY MODEST , STAY COOL」(謙虚であれ、カッコよくあれ)を大切にしています。どんなにキャリアを積んでも驕ることなく、誰に対しても謙虚な姿勢を忘れたくないと思っています。

:謙虚さに関する理念は、合同会社の名前である「ミドル」にも込められているそうですね。

CUEさん:はい。一番手でなくてもいい、2番手、3番手という謙虚な姿勢を持ちつつも、ムーブメントの真ん中には存在していたいという野心を込めた意味での「ミドル」(真ん中)です。ヒップホップの方々との共演が多かった時期があり、「俺がナンバーワン」という文化に馴染めず、謙虚で面白いことができたらいいという思いがありました。

:さて、現在のお仕事で、たまらなく面白いと感じる瞬間や、一番のやりがいは何ですか?

CUEさん:自分のデザインしたTシャツが、知らない土地で着られているのを妄想する瞬間です。また、県外出展の際に、私のブランドのTシャツを着て歩いている人を見ると嬉しいですね。そして、私が一人でブランドを運営していると伝えると、ほとんどの人が驚く瞬間も面白いです。多くのお客さんは、雇われ店長か、売り子で派遣されたバイトと思っているようです。

:デザイン、制作、発送、全てお一人でされているんですよね?

CUEさん:そうです。Tシャツを何百枚と刷って、袋詰めや発送も全てやっています。

:ワンオペ経営で大変さや難しさを感じるのはどんな時ですか?

CUEさん:純粋に肉体的にしんどいことと、アイデアを考えることに集中したいのに、制作や発送からも全てやらなければならないことです。本当は、価値観を共有できるアシスタントを雇用し、現場を任せて、デザインや面白い企画を考えることに没頭したいと思っています。ゴールデンウィークのイベントでは、全市町村Tシャツとオリジナルラインナップを合わせて600枚以上持っていきます。

:ちなみに、私ズケヤマセイラのTシャツ制作でも、発注が雑だとお叱りを受けることがありますね。

CUEさん:私の発注はちゃんとしてないと言われることもありますが、ふわっとした依頼でも、せいらさんのおかげで免疫がついているから大丈夫です。ただ、情報や方向性を添えていただけると嬉しいですね。笑


300万円を寄付した首里城支援と今後の目標

:CUEさんの活動の中でも、首里城復興支援Tシャツの活動は大きな話題となりました。

CUEさん:もともと市町村の番外編として、首里とコザのTシャツを作ろうとデザインを最終調整している段階で、たまたま首里城が燃えてしまったんです。

周囲からのアドバイスもあり、予定していたデザインを「首里城キャッスル」に置き換えて、すぐさま支援をスタートさせました。

:その反響はすごかったそうですね。

CUEさん:そのスピード感もあってか、全国のニュースなどに取り上げられ、2日間ほど購入通知が鳴りやまない状態になり、怖くなって一旦止めてしまいました。制作のスケジュールが立てられない状況だったので、同業者にも協力してもらいながら、最終的に300万円を首里城に寄付することができました。このおかげで、今の店舗を構えることができたというのもあります。

:では、最後に未来の展望について教えてください。

CUEさん:ブランド立ち上げからちょうど5年が経ったので、直近の目標は、市町村Tシャツの全面リニューアルを考えています。5年で得たデータを噛み砕いて、もう一度地元の方が喜ぶデザインを放出したくて。

:長期的にはどのような目標がありますか?

CUEさん:一番近い目標としては、価値観を共有できるスタッフを雇用したいです。実現できれば、販売の現場を任せ、北谷や国際通りに新店舗を構えて勝負したいです。また、趣味の釣りから派生したフィッシングブランドを立ち上げたいとも思っています。


「好き」を貫く:キャリアに悩む人々へのメッセージ

:最後に、キャリアに悩む若い世代に向けてメッセージをお願いします。

CUEさん:若い頃は「好き」に向かって突き進んでいいと思います。30代なんてまだまだ大丈夫で、あと2回くらいは人生やり直せると思います。

失敗を恐れず、まっすぐ突き進んで、変に自分の好きを大人な理由で負けないで欲しいですね。「好き」を仕事にする過程は苦しいこともありますが、「楽しい」が勝ちます。

続けている人は、何かしらを得ていけます。

:ありがとうございました!きゅーさんにお仕事を頼むにはどうしたらいいでしょうか?

CUEさん:メインで動かしているInstagramからDMしていただくのが一番良いです。お店が空いていて私が居れば、直接相談してもらえれば色々と提案もできます。

:本日は本当にありがとうございました。

CUEさん:ありがとうございました。


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