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【インタビュー】~Hoicu Connect Labo~保育士の居場所を作りたい!元保育士2人が立ち上げたコミュニティ「HCL」にかける想い


この番組は、ユニークな経歴や珍しいお仕事をしている方をゲストにお招きし、その道のりや考え方、夢中になっていることを伺っていく番組です。今回のゲストは元保育士のお二人、弓乃さんと未央さんです。
この番組は、叶いと夢は必ず叶うという思いを込めたNPO法人Mirai Kanaiの提供でお送りいたします


ゲストプロフィール紹介


儀保弓乃 (ぎぼゆみの)


amayadori🌳/色のおはなし家さん🏡/保育士👶/つたえあいカード👦/あそびのws✂️として活動。
沖縄で「おとなもこどももワクワクに」を掲げる保育士・色のお話し屋さん。
セルフコミュニケーション講座の認定講師として活動したり、自己対話を促すDCカラーセラピーのセッションを行っている。元保育園の先生。
Instagram https://www.instagram.com/unocomi88/


玉宮未央 (たまみやみお)


保育サポート専門 hoicuのカタチとして活動。
コンセプトは「紡ぐ対話で保育の世界に潤いをplus+」。
保育園や保育士さん向けのトータルサポート事業を行っており、保育士養成の専門学校で非常勤講師、またTHE COACH 認定コーチとして、保育にまつわる全てのお仕事をされている。
Instagram https://www.instagram.com/m_i_oooo/


現在の活動と保育との繋がり


イ:早速ですが、リスナーの皆さんに今どんな活動をされているか自己紹介をお願いできますでしょうか。
弓乃:私は、セルフコミュニケーション講座の認定講師として活動しています。また、TCカラーセラピーのセッションを行い、自己対話を促しながら深掘りしていくという活動をさせてもらっています。元保育園の先生です。
未央:私は現在、県内で「hoicuのカタチ」という屋号を掲げて個人事業主として活動しています。保育園さんや保育士さんに向けたトータルサポート事業として、保育の分野であればどんなことでもサポートさせてもらうというのを全面に打ち出しています。その他にも、保育士養成の専門学校で非常勤講師をしたり、保育士さん個人に特化したコーチングセッションも行ったりと、全て保育にまつわるお仕事に従事しています。
イ:お二人とも興味深いですね。まず、最初の質問ですが、幼少期に今の活動につながるようなことはありましたか。
弓乃:私は3歳の頃に通っていた保育園の先生がすごく大好きで、その時に見せてくれたエプロンシアターや、家であったことを話した記憶が鮮明に残っています。それでずっと保育園の先生になりたいという夢がありました。小学校6年生の卒業式では、子どもの目線に合わせられる保育園の先生になりたいと発表していました。その昔の先生の記憶、つまりロールモデルがいて、そうなりたいという思いが今の活動の原動力になっています。
未央:私は元々人前で話すのが苦手で内気な子どもでしたが、親戚のおばちゃんたちがみんな保育士をしていたり、保育園を運営している身内がいたりといった環境が身近にありました。夏休みもずっと保育園にいてお手伝いをさせてもらうなど、保育という環境が身近にあったのが大きいです。高校から短大に進んだ際、通える場所に保育科があったため、自然と保育の道に進むことになりました。
イ:社会に出て最初に選んだお仕事は何でしたか。
弓乃:3歳の時に通っていた出身園で実習させてもらう機会があり、そのまま就職で呼んでいただいて、保育園の先生になりました。
未央:私の社会人1発目は20歳、短大卒業してすぐなので、やはり保育士です。


独立を決意した転機と葛藤

イ:それが今の活動にどう繋がっているのか教えていただけますか。
弓乃:私にとっての分岐点は、子どもを出産し、育児と仕事を両立させるのが難しくなったことです。保育も立ち止まって深く考えたり、家でワクワクしながら作戦会議したりする時間が少なくなってしまったこと。また、自分の子育てが落ち着くまでは、子どもの「面白い」をいっぱい見届けたいという思いがあったため、働き方を変えようと思ったのがきっかけです。保育の仕事は大好きだったので、保育士さんがもっと働きやすく、育児を楽しめる形にできないかと考えました。そこで、自己理解・他者理解というツールを使い、大人の方々や、子どもたちへのワークショップや研修という活動につながっています。
未央:大きな転機はまさにコロナ禍でした。ちょうど管理職として主任業務をしていたのですが、約20年の保育士経験の中で、私はずっと「保育大好き、楽しい」と思えていたんです。しかし、管理職として全体をマネジメントする立場になった時、「先生たちがすごく疲れている」「楽しさがどこにあるのかな」と感じる瞬間がありました。その時に、私自身もしかしたら保育士でいることが最適ではないかもしれない、と感じ始めました。これまでの経験をもとに何かできないかと考え、約2年かけて、一旦外に出て、雇用される形ではなく自分が外からできることを開拓しようという流れが今の活動につながっています。
イ:決断された時の葛藤や周りの反応はいかがでしたか。
弓乃:活動を始めた当初は、保育園で働きながら副業をするということが難しく、やりたいことをやりたいと言えないモヤモヤ感がありました。ですが、自分のやりたいことが明確になったからこそ、退職し、やりたいことを形にしていきました。動きながら考えていくことで、いいご縁があったり、視野が広がったりしました。保育園という自分の園だけの社会から飛び出したことで、他の園の動きや学びを知り、多くのことを吸収できたのは良かったです。家族との関係性では、考えが真逆な旦那さんに一番相談し、夜二人で話し合いながら、やりたいことをお互い形にしていった感じです。
未央:よく言われるコンフォートゾーン(安心安全の領域)から出る感覚でした。保育という仕事が好きで、現場を離れる選択はなくても良かったのですが、新たなチャレンジとして一歩踏み出す決意をしました。私は猪突猛進型で、決めると早く突き進める感覚があります。不安だったのは、シングルマザーとして子ども二人を育てていけるかという生活面です。そのため、退職するまでに不安要素を減らしたくて貯金を頑張ったり、生活に苦労しないよう策を練ったりしました。親も反対せず、「やってみたらいいんじゃない」「あんたがやりたいんだったら応援するよ」と言ってくれました。周りの環境も個人事業主さんが多かったため、先輩方から話を聞くことで不安が払拭され、弓乃さんと同じく「動きながらどうするか」という心持ちで進んでいます。


活動で感じるやりがい、喜び、難しさ

イ:独立して、保育士時代と比べて何か変わったものや得たものはありますか。
弓乃:保育園を飛び出して、去年から多業種との学び合いを始めました。作業療法士さん、理学療法士さん、歯科医師さん、助産師さんなどと関わる中で、見る角度によっていろんな答えがあるということが学びになっています。そのため、相談者さんのお悩みに合わせた角度からアプローチができるようになりました。
未央:変わったことといえば、保育園という組織外で、色々な業種の方との出会いが拡大したことです。自分が何年も狭い空間に身を置いていたんだという気づきがあり、この2年間でたくさんの刺激を受けています。得たものとしては、「自分で選択していいんだ」「自分で決めていいんだ」「自分で挑戦してもいいんだ」といった、自分を認めてあげられる気持ちや思考の部分が成長したと感じています。
イ:今のお仕事でたまらなく面白いことや、一番のやりがいを教えてください。
弓乃:カラーセラピーに関しては、来た時の表情と、気持ちを吐き出した時のスッキリ感、帰る時の顔が全然違うのをみると、この仕事をしていて良かったと思わせてもらえます。セルフコミュニケーション講座や研修では、参加者の方々が「その視点はなかった」とか、子どもに目線を送りがちだった方が自分の内側に目を向けた時に自己発見があるのが楽しいです。その視点をプラスにして生活してみます、明日の保育が楽しみになりました、といった言葉を笑顔で伝えてもらった時、そしてその後も繋がり続け、情報交換ができる関係になるのがたまりません。
未央:クライアントさん、お客様の自己成長を一緒に共感できた時です。前回に比べてこうなっていませんか?と気づきや発見を提示した時に、クライアントさんの表情が変わったり、「本当だ」と自分では気づいていなかったところに気づく瞬間を共有できる時がたまりません。
学生さんの例ですが、人前で発表することに抵抗があった子が、1対1で感想を聞いた際に、その視点が面白すぎて褒めました。その2分間の承認の時間がきっかけで、次の授業で一番に手を挙げて発言してくれたんです。拒否していた子が生き生きとした表情に変わり、自分の話をしていいんだという自信に変わった瞬間を目にして、自己肯定感や自信に繋がっていけた姿に、自分の関わり方が間違っていなかったと感じ、嬉しくなりました。


イ:逆に、難しいことや大変さ、きつかった経験があれば教えてください。
弓乃:集団の中から一人になった時に、同じ活動をしている人との相談ができなかったり、自分の視点や力量での振り返りやアイデアしか生まれなかったりしたことが難しかったです。集団の力はすごいと感じました。しかし、行動していく中で未央さんと出会い、同じ職種でも違う見え方や違うアイデアがあることを発見しました。同じ職種の仲間と、円の中だけでなく外でも関係性が作れると感じたので、チームとして動くという流れになり、困り感は解消されました。
未央:弓乃さんが言ったように孤独感を感じることは時折あります。また、ずっと「誰かのために、子どもたちのために」と尽くす仕事をしていたため、「私にはこれができます」という提案、つまり営業のような部分で、どのように提案をかけていいのかが分からない迷いが出ます。また、人の情が湧きやすく、相手のためを思いすぎて、入らなくていいところまで入り込んでしまう癖があり、その線引きの部分で迷いが出てしまうことがあります。



価値観と影響を受けた人物

イ:仕事をする上で、これだけは譲れない価値観やモットーはありますか。
弓乃:頼ってくれた方の時間や思いを大切にしたいという気持ちが強くあります。相手の喜びを想像して動くことを大切にしており、ヒアリングをしっかりさせてもらって、その内容と自分ができることをかけ合わせてご提案するようにしています。
未央:シンプルに言うと、丁寧さ、テンポ感、スピード感、感謝の気持ち、そして相手に対するリスペクトです。
イ:ご自身の考え方や仕事のスタイルに影響を受けた人物や本を教えていただけますか。
弓乃:沖縄女子短大で授業をされている羽地ちか先生(通称バムちゃん先生)の考え方が大好きです。羽地先生は障害児保育が専門で、「発達をすることで保育がもっと楽しくなった」というお話をされていました。その話を聞き、今までは「何歳になったらこれくらい」という視点だけだったものが、一人ひとりの今の育ちを掘り下げて見るようになり、発達の勉強をし始めました。バムちゃん先生のワークショップに参加し、遊びや保育の楽しさを改めて感じさせてもらえたので、ロールモデルになっています。
未央:栃木県の小俣幼児生活団の主任保育士である大川繁子先生の本、そして園長の眞さんです。子どもたちが自分が決めたことをやりたいように叶えられる環境がそこにはあります。先生たちもゆとりがあるその環境を見て、保育は忙しいというイメージが先行しがちだが、そうではないかもしれないと感じました。目の前の子どもたちが何に興味があり、何をしたいのかをしっかり捉える力の方が大事だと感じました。その保育の本質を、悩んでいる保育士さんたちに伝えていきたいと思い、大川先生の著書を毎回見させてもらっています。


未来の展望:HCLコミュニティの創造

イ:お二人の未来の展望、挑戦したいことや目標を教えてください。
弓乃:保育士さんのことが大好きなので、保育士さんの居場所作りを今後していきたいという思いがあり、今月から未央さんと一緒に活動させていただいています。保育士という仕事はやりがいがありますが、忙しさや責任の重さに追われ、「保育は大変」というところで着地しがちです。だからこそ、対話の名人である未央さんとタッグを組んで、シンプルに「保育って楽しい」を思い出せる場所を作りたいと思っています。子どもたちと一緒に笑った瞬間や、小さな成長に気づいた感動など、明日の保育が楽しくなることが分かち合えるコミュニティを作っていきたいです。
未央:弓乃が話した保育士さんの居場所作り(HCL)の活動に加え、私個人のコンセプトとして「シンプルに保育って楽しいよね」と思える保育士さんを増やしたいという思いが一番にあります。そして、大きなビジョンとしては「保育の世界に潤いをプラスしたい」ということがあります。現状枯渇しているわけではないと思いますが、もっとプルプルにできるのではないかと。そのためにも、保育の楽しさを保育士さん一人ひとりがもっと身近に感じてもらい、そういった瞬間を味わってほしいです。今後は個人での仕事だけでなく、チーム(HCL)で動くことで、このHCLを大きくしていきたいと思っています。
イ:目標に向かって今特に力を入れていることや準備していることはありますか。
弓乃:私はすごくアナログ人間なので、自分の弱いところは強い人に頼りつつ、頼ることと学ぶことをすごく大事にしていきたいと思っています。
未央:学び直しです。保育の勉強をしてきたはずですが、人間は忘れていく生き物なので、見直すと全然分かっていなかったということがあり、その学び直しに今力を入れているところです。


リスナーへのメッセージ

イ:キャリアに悩んでいる方や、これから何かを始めようとしているリスナーに向けて、メッセージをお願いします。
弓乃:一人で考えるよりも、話すことはすごく大事なことだと思います。安心して話せる場を提供し続けたいと思っているので、「ちょっと話に行きたいな」とか「会いたいな」という人が増えてくれるとすごく嬉しいです。
未央:まずは、目の前の小さな積み重ねを大切にしていただきたいです。そして、とにかくやってみたいことをやってみることで得られる気づきがあるはずなので、1mm単位でもいいからまず前進するという経験を勇気を出してやっていただきたいです。変えられるのはこれからの未来と自分自身だと思うので、私たちに会うことで何かプラスになっていただけるのであれば、両手広げてウェルカムでお待ちしています。
イ:最後に、お二人の活動についてウェブサイトやSNSがあれば告知をお願いします。
弓乃:未央さんと一緒に始めた「HCL 保育コネクトラボ」は、今月から試運転で10月、11月、12月と開催を進めています。ありがたいことに第1回目は満席ですが、第2回、第3回の告知は1ヶ月前にしますので、私と未央さんのInstagramを見ていただければ嬉しいです。
儀保弓乃 (ぎぼゆみの) https://www.instagram.com/unocomi88/

玉宮未央 (たまみやみお) https://www.instagram.com/m_i_oooo/
イ:ありがとうございました。

:HCLは少人数(ゲスト2名+参加者5名で計7名)で、その時のテーマに合わせて話したり、学びを入れたり、手作業をしたりする予定です。対象は保育士の免許を持っている方としています。


インタビューを動画で見たい方はこちらをチェック♪

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