はじめに
NPO法人Mirai Kanaiがお送りするミラクルモンスター、パーソナリティのズケヤマセイラと宮城拓真です。この番組はユニークな経歴や珍しいお仕事をしている方をゲストにお招きし、その道のりや考え方、夢中になっていることをとことん伺って、リスナーの皆さんと一緒に勝手に応援していく番組です。皆さんの日常に新しい発見やワクワクをお届けできたら嬉しいです。本日のミラクルモンスターは、消防士の伊波琢磨さんです。

ゲストプロフィール
ゲスト名:伊波琢磨(イハタクマ)さん
プロフィール:現在の主なお仕事は米軍基地内の消防士です。
海外の仕事に憧れており、過去にはキャバクラなどの水商売を経験し、18歳で150万円を貯めてパリへキックボクシング留学を果たした異色の経歴を持ちます。
米軍基地内のクラブでバーテンダーを務めたことが、現在のキャリアの大きな転機となりました。
現在は民宿の運営も行っています。
URL:
Instagram:https://www.instagram.com/takuma__okinawa?
インタビュー
イ: NPO法人Mirai Kanaiがお送りするミラクルモンスター、本日のゲストは消防士の伊波琢磨さんをお迎えします。たくまさん、こんにちは。
伊波: こんにちは。
イ: 伊波さんは今、どのような活動をされていますか?
伊波琢磨: 現在は、米軍基地内の消防士をしています。その他、最近では那覇などでミセスコンテストなどのイベントスタッフの手伝いをしたりしています。昨年はコンテストに出場し、沖縄代表として全国大会にも行きました。
イ: 多岐にわたるご活動をされていますが、今のお仕事につながるような、子どもの頃や学生時代に夢中になったことはありますか?
伊波: 子どもの頃から海外の仕事に憧れていました。また、幼少期はジャッキー・チェンが大好きで、テレビ画面のジャッキーを助けようとパンチやキックをしていたほどでした。それでずっと空手を習いたいと親にお願いし、8歳の時から空手を習い始めました。空手は高校まで続け、その後、別の道場にも通い大会で優勝したりもしました。
イ: その後、キックボクサーを目指されたのですね。
伊波: はい、キックボクサーを目指そうと思いました。

18歳、パリでのキックボクシング留学
イ: それで海外へ行かれたのですね。
伊波: 当時、沖縄にキックボクシングジムがなかったので、どうせなら海外に行こうと思いました。親に大反対されたのですが、自分で大阪に季節労働に行き、150万円を貯めて、そのお金でパリにキックボクシング留学しました。
イ: パリを選んだのはなぜですか?
伊波: 最初はタイに行こうかと思ったのですが、パリに憧れがあったのと、当時はオランダとパリがキックボクシングで強かったんです。K-1がテレビで放送される前の時代でしたが、格闘技マガジンを読んでK-1やジェロム・レ・バンナを知り、彼のジムに入ろうと目指してパリへ旅に出ました。
イ: 当時インターネットがない中で、どうやってジムを探したのですか?
伊波: 当時インターネットがなかったので、行くしかなかったです。パリの本屋さんでフランス語の格闘技マガジンを買い、その中の情報を頼りにジムを全部回りました。結局、レ・バンナのジムはパリにはなかったようですが、パリで一番大きいジムに入ってキックボクサーを目指しました。
イ: 1年間パリに滞在されていたのですね。
伊波: 1年間住んでいました。プロになれるかと思いましたが、1年間苦しんで、自分にはセンスがなかったと気づきました。学生ビザしか取れなかったので、ソルボンヌ大学の外国人クラスに入って、毎日フランス語の勉強もしていました。フランス語は超むずいので、それにも追い詰められた苦悩の1年間でしたね。
水商売からキャリアの転機へ
イ: 帰国されてから、最初に就いたお仕事は何でしたか?
伊波: パリへ行く前に季節労働や水商売をしていましたが、卒業してからはメンズバーなどの飲み屋のバイトをしていました。
イ: そこから、現在のキャリアにとって「大きな転機だった」と思える出来事や決断はありますか?
伊波: 飲み屋で働いていて、23歳まで水商売と勝手に決めて、24歳からはお昼の仕事をしたいと思っていました。当時働いていたオーナーにそのことを伝えると、「パソコン教室を開くからそこで働きなさい」と言われ、パソコン教室の先生として働き始めました。
イ: パソコン教室の先生ですか。その経験は?
伊波: 当時、私はパソコンの電源のつけ方もわからなかったんです。電源のつけ方を生徒から習った日本で初の先生かもしれません(笑)。でも、仕事をし始めたら何でも一生懸命になるタイプなので、朝から晩までパソコンに集中し、わずか1週間ぐらいでブラインドタッチができるようになりました。仕組みも周りの詳しい人や友達から習い、パソコン検定2級か1級かを取得しました。
イ: その後、キャリアに大きな転機が訪れたと伺いました。
伊波: パソコン教室の仕事を辞めた後、米軍基地でバーテンダーをしている知り合いから声をかけられ、米軍基地のクラブでバーテンダーになったことが大きな転機でした。
米軍基地のバーテンダーとしての苦悩と成長
イ: 米軍基地内のバーテンダーはどんな仕事でしたか?
伊波: そのクラブは超でかいキャンプ・フォスター内にあり、多い時は1日に1500人のお客さんが入る、世界中の米軍基地のクラブの中で売上ナンバーワンの場所でした。アメリカ人がいっぱいで、バーテンダーになった「転機」の際は、不安8割、ワクワク2割という気持ちでした。
イ: 英語は大丈夫だったのでしょうか?
伊波: 面接では「英語が喋れますか」と聞かれ、フランス留学の経験があったので「はい」と答えたのですが、初日はめちゃめちゃへこみました。英語は全然喋れず、注文が分からず、最終的にはビール(コロナ)オンリーで乗り切りました。
イ: そこからどのように乗り越えたのですか?
伊波: 翌日、もう辞めようかと迷いましたが、その時に1年後の自分の姿を想像しました。ここで辞めなかったら、1年後の俺は英語もペラペラでお酒も何でも作れて楽しくやってるはずだと。その1年後の自分と会話をするんです。
イ: 1年後の自分との対話が指針になったのですね。
伊波: そうです。ベテランバーテンダーからよく使う英語とカクテルを教えてもらい、必死に勉強することで、そこから英語とカクテルを覚えることにのめり込んでいきました。
イ: 迷った時にフラットに戻る指針は、1年後の自分の姿を想像することなのですね。
伊波: そうですね。また、人生で一番苦悩したパリにいる20歳の時、自分のダメなところや弱いところをすべて含めて受け入れた時に、人は一番強くなれるということに気づきました。
飽きない仕事:米軍基地の消防士のやりがいとシステム
イ: バーテンダーの仕事の傍ら、消防士を目指されたのは何歳の時ですか?
伊波: 29歳の時に消防士に向かいました。バーテンダーの仕事は週末の夜だけで、昼間は専門学校でパソコンや英語の先生もしていました。
イ: 米軍基地の消防士になるためには、特別な資格や条件はありますか?
伊波: 米軍基地に入るためには、ロム管理局に書類を提出し、体力テスト、筆記、そして英語と日本語での面接に合格する必要があります。特に、大型免許は必須で、英検は最低3級、できれば準2級ぐらいまで持っていると採用に繋がりやすいです。現在は倍率が高く、これがないとなかなか採用されない状況です。
イ: 消防士としての仕事のやりがいはどんな時ですか?
伊波: 今の仕事は始めて20年過ぎたのですが、初めて飽きない仕事かもしれません。奥が深く、未だに学ぶことがたくさんあります。我々の部隊はアメリカの消防のシステムでやっており、試験やボスはアメリカ人なので、英語を使うことも多く、刺激的です。
イ: 消防士の活動は火事だけではないと伺いました。
伊波: 火事の出動はわずか1〜2割くらいです。その他に救急車や、ロープを使ったレスキュー訓練、危険物(ハズマット)を取り扱うレスキューなど、無限に勉強することがあります。これらがどんどんアップデートされていくので、終わらないんですよ。この仕事で、「たまらなく面白い!」と感じるのは、チームで問題を乗り越えた時です。
イ: 米軍基地の消防隊ならではの大変さや難しさはありますか?
伊波: この仕事ならではの大変さは、どの仕事でも一緒かもしれませんが、だいたい人間関係ですね。我々は24時間体制で、2日に1回一つ屋根の下で生活しているので、コミュニケーションが大変だと感じる時があります。
仕事への価値観と未来への展望
イ: 仕事をする上で、これだけは譲れない!と「大切にしている価値観」や「モットー」があれば教えてください。
伊波: 大切にしている価値観は、チームワークです。まずはみんなが良くなるために思って行動していると、結果的に自分が良くなるので、それを全員でやればいいんだよ、という話を若い隊員によくしています。
イ: これから挑戦してみたいことや、近い将来達成したい目標や夢はありますか?
伊波: いろんな国に住んでみたいです。今は妻と一緒に、日本の文化であるアニメを海外で広めるために、声を活用したクラスをやりたいと考えています。そのおまけで、お金がなくなったら空手道場もやりたいです。
イ: 日本の文化を海外で広めたいという考えの根底には、何があるのでしょうか?
伊波: 日本は経済的・工業的にだいぶ落ちてきていますが、未だに日本の文化や人間性は色褪せない宝だと思っています。海外へ出てみないと日本がどれだけ弱っているかわからないので、旅行を趣味にして、視野を広げてほしいです。私は旅を基準に、いろんな経験や体験に注目すると豊かな人生になると思っています。
キャリアに悩む方へのメッセージ
イ: 最後に、キャリアに悩んでいる方や、これから何かを始めようとしているリスナーに向けて、何か一言アドバイスやメッセージをいただけますか?
伊波: いつでも初めて体験にチャレンジしてみることです。そして、人生において、移動距離がその人の人生の豊かさに比例するという話もあります。お金を貯めて旅行に行くことは、お金がもったいないと思うかもしれませんが、実はそれが人生もったいないんじゃないかと私は思っています。経験や体験にお金をかけることを大切にしてほしいです。
イ: 伊波琢磨さん、今日は本当にありがとうございました。
伊波: ありがとうございました。
イ: 伊波さんのInstagramは、takuma__okinawaで登録されているそうです。メッセージを送ってくれたら嬉しいとのことですので、皆さん要チェックをお願いします。
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