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【インタビュー】子育てと仕事を両立させる!訪問型病児保育と命を守る救命講師

はじめに

皆さんこんにちは。NPO法人MiraiKanaiが運営する「ミラクルモンスター」、パーソナリティのズケヤマセイラと津波古つばさです。

この番組は、ユニークな経歴や珍しいお仕事をしている方をゲストにお招きし、その道のりや考え方、夢中になっていることをとことん伺って、リスナーの皆さんと一緒に勝手に応援していく番組です。

さて、本日のゲストは「みらい結び」の上江洲さあやさんと喜屋武綾華さんです。お二人は「想いを仕組みに」をコンセプトに、沖縄県内で訪問型の病児保育と救命講習を運営されています。

今回は、看護師から現在の活動に至った経緯、コロナ禍での起業のきっかけ、そして地域全体で子育てを支える未来の展望について、詳しくお話を伺いました。


本日のゲスト:みらい結び 上江洲さあや・喜屋武綾華

プロフィール 「想いを仕組みに」をコンセプトに、沖縄県内で訪問型の病児保育と救命講習を運営。お二人とも看護師資格を持つ。あやかさんは保育士資格も保有しています。

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• みらい結び(本アカウント):https://www.instagram.com/mirai_musubi_/

• みらい結び 救命講習アカウント:ayaka_miraimusubi_firstaid


イ:本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、お二人が現在の活動に至るまでの経緯を教えていただけますか?

みらい結び:(さあやさん)私は幼少期から親戚の中で一番年上だったので、自然と年下の子の面倒を見る機会が多く、中学生の頃には「将来は子供に関わる仕事に就きたい」と考えていました。専門学校卒業後は、県外の小児科で看護師としてキャリアをスタートさせました。神奈川で働きながら第一子を出産したのですが、子どもが喘息持ちで月に10日ほど休むこともあり、仕事と育児の両立に大きな課題を感じました。この経験から、より子育てしやすい環境を考え、保育園の看護師として働くようになったのが大きな転機です。

みらい結び:(綾華さん)私は鳥取県出身で、中学生の頃にドラマの影響で医療関係に興味を持ち、看護の道へ進みました。大学卒業後は岡山の大学病院のPICU(小児集中治療室)で働き始めました。その後、沖縄出身の方と結婚して沖縄に移り住み、自身の子育てもあったので、両立しやすい保育園の看護師として働き始めました。

イ:お二人は元々お知り合いだったのですか?

みらい結び:(綾華さん)いえ、全く違うんです。11年ほど保育園看護師をしていたのですが、去年の春に共通の知人である保育士さんのインスタグラムのストーリーで、さあやさんが紹介されているのを見つけました。「看護師さんが起業している」と興味を持ち、特に「看護師なのに熱が出た子を見てあげられないもどかしさ」という発信に強く共感して、インスタでDMを送ったのがきっかけです。その後、実際に会って救命講習の話などで意気投合し、「一緒にやろう」ということになりました。

★コロナ禍が後押しした「訪問型病児保育」の起業

イ:さあやさんが起業されたきっかけは何だったのでしょうか?

みらい結び:(さあやさん)コロナ禍が直接のきっかけです。保育園看護師として働く中で、微熱のあるお子さんについて保護者の方から「看護師さんだけでもう少し見てもらえませんか」と頼まれることが多くありました。看護師としては「安全に見ることができる」という自信がある一方で、保育園という集団の場では感染症対策の観点からお断りしなければならない状況に、無力さを感じていました。保護者の方々が仕事を休めず、キャリアや生活にまで影響が出ている状況を目の当たりにし、この課題を解決したいと思ったのが起業の動機です。その思いから、年度末で保育園を退職し、4月から起業しました。

イ:活動を始めてみて、お二人で良かったと感じることはありますか?

みらい結び:(さあやさん)以前は一人で病児保育と救命講習の両方を運営していたので、予約が重ならないか常にひやひやしていました。今年度からは綾華さんが救命講習をメインで担当してくれるようになったので、私は安心して病児保育に集中できるようになり、とても働きやすくなりました。

みらい結び:(綾華さん)私は10年ほど保育園看護師として働き、自分のキャリアに少し悩んでいた時期でした。そのタイミングでこのお話をいただき、救命講習という非常にやりがいのある仕事に出会えました。「楽しいしかない」と感じるほど、新しい仕事に新鮮な気持ちで取り組めており、本当に良かったと思っています。

★「本当に利用できる」を目指す病児保育と、現場に即した救命講習

イ:現在の活動のやりがいや、面白いと感じる瞬間について教えてください。

みらい結び:(さあやさん)私たちの訪問型病児保育は、基本的に「100%対応する」というスタイルを貫いています。行政の病児保育では、利用するためにまず受診が必要だったり、定員で利用できなかったり、預けても熱が上がると呼び出されたりすることがあります。私たちはそういった制約を取り払い、受診や診断書なしで、当日連絡があっても対応し、熱の上限も設けていません。保護者の方から「本当に助かりました」という言葉をいただけることが一番のやりがいです。

みらい結び:(綾華さん)私たちが保育園で行う救命講習は、単にAEDの使い方を教えるだけではありません。その保育園で実際に事故が起こった場合を想定したシミュレーション訓練を行います。例えば、「給食中に窒息が起きた」「うつ伏せで呼吸が止まっている」など、リアルな状況を設定し、限られた職員でどう対応するかを実践します。これにより、先生方が普段の保育体制を見直すきっかけになっています。実際に「プールの監視体制を3人から4人に増やそう」といった安全対策の改善に繋がり、事故予防に役立っていると実感できるのが嬉しいです。

イ:お仕事をする上で大切にしている価値観はありますか?

みらい結び:(さあやさん)「みらい結び」では「自利利他(じりりた)」、つまり「まず自分が幸せになり、その上で相手を幸せにする」という理念を大切にしています。仕事よりまず自分の家庭や子育て、キャリアを第一に考えてほしいと、一緒に働くスタッフにも伝えています。

みらい結び:(綾華さん)人と接する仕事なので、常に笑顔で明るく接することを心がけています。また、講師として、自分が伝えたいことと相手が知りたいことのすり合わせを大事にしています。保育園の状況を伺いながら、相手にとって本当に必要な情報を提供できるよう努めています。

★地域全体で子育てを支える仕組みづくりへ

イ:今後の目標や挑戦してみたいことを教えてください。

みらい結び:(さあяさん)現在は家庭と保育園が子育ての中心ですが、今後は地域や職場も巻き込んだ形で子育てできる環境を作りたいです。その一環として「トモイクプロジェクト」を立ち上げ、企業にもバックアップしていただきながら、地域全体で子育てと仕事をサポートする仕組みを整えていきたいです。そのために、協力してくださる企業さんとお話を進めたり、病児保育の対応スタッフを増やしたりすることに力を入れています。

みらい結び:(綾華さん)保育園の先生方の救命スキルを上げることで、保護者の方が安心して子どもを預けられる環境を作りたいです。また、支援センターなどで保護者向けの講習も行い、子育てにおける体調不良などの不安を解消するお手伝いができればと思っています。より多くの保育園や保護者の皆様と繋がれるよう、少しずつ活動を広めていきたいです。

イ:最後に、ご自身の道に悩んでいる若い世代へアドバイスをお願いします。

みらい結び:(さあやさん)子どものことを理由に、やりたいことを諦める必要は全くないと思います。私自身も両親が共働きでしたが、仕事は楽しいものだと感じて育ちました。子どもがいるからと諦めるのではなく、自分のキャパシティを超えない範囲で、ぜひチャレンジしてほしいです。

みらい結び:(綾華さん)人との繋がりを大切にすることです。私が「みらい結び」と出会えたのも、以前の職場の同僚との繋がりがあったからです。職場を離れた後も縁を大切にしていると、良いことがあると実感しています。

イ:本日は貴重なお話をありがとうございました。


この記事は、NPO法人MiraiKanaiが運営するYouTubeチャンネル「ミラカナチャンネル」の配信をもとに作成しました。動画では、記事に書ききれなかったお二人の魅力的なトークを全てお楽しみいただけます。ぜひ、そちらもご覧ください。

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