記事一覧

起業家・道廣敬典氏が語る沖縄への貢献とウェルネスの未来

NPO法人Mirai Kanaiがお届けする「ミラクルモンスター」に、今回お迎えしたのは起業家の道廣 敬典さんです。道廣さんは、沖縄を拠点にヘリコプターサービスを提供する株式会社Blue Mobilityと、ウェルネスツーリズムを提供する株式会社琉球ウェルネスの二社を経営されています。沖縄の新たな価値を創造し、地域に貢献する道廣さんの魅力に迫ります。


イ:ズケヤマセイラ・宮城拓真
道廣:道廣 敬典

起業家の道廣 敬典(Takanori Michihiro)

株式会社Blue Mobility
https://bluemobility.co.jp/
エアモビリティ事業 レンタカー不足や渋滞などの問題が懸念されている沖縄で、”空のインフラ”を整えることにより、観光体験のアップデートを目指します。 また、地震や津波などの災害発生時には、ヘリコプターを救援活動に利用し、”新しい防災システム”として地域住民を守るための防災対策にも貢献します。

株式会社 琉球ウェルネス
https://ryukyu-wellness.co.jp/
自己探求の旅、やんばるの大自然を感じる旅、心身を癒す旅など「人生の転機となるような、ウェルネスで特別な体験」を提供しています。 会費入会金等一切無料のメンバーシップ登録者限定サービスとなっておりますので、Webサイトより一度お気軽にお問い合わせください🌿


1. 幼少期から学生時代
イ:道廣さん、本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、まず子供の頃や学生時代はどんなことに興味を持っていましたか?

道廣:はい、ありがとうございます。出身は大阪なのですが、本当にのびのびと、勉強もほとんどせずに遊びだらけの幼少期を過ごしました 。興味があることや楽しそうなことにはどんどん突っ込んでいく、好奇心旺盛な子供だったと思います 。


イ:その子供時代が今の活動に繋がっていることはありますか?

道廣:ええ、そうですね。母の影響が大きいです 。

母は「やらないといけないことはやりなさい。やりたいことはやりなさい。人に迷惑をかけるな。人がやって喜ぶことをやりなさい」というシンプルな指針を持っていました 。

幼い頃から、母に「これに行きたい、これをやりたい、なぜなら」とプレゼンする場面が多かったですね 。

2. 社会人としてのキャリアのスタート(リクルート、サイバーエージェント)
イ:母の指針が今の道廣さんの活動に繋がっているのですね 。社会に出て、最初に選んだお仕事やキャリアはどのようなものでしたか?


道廣:大学卒業後は東京に出て、リクルートという会社に就職しました 。この会社は起業家が多く、お客様も経営者の方々でした 。会社に就職するというよりは、自分の人生を良くするためにリクルートを良い意味で利用するようなマインドを持った人が多かったことに惹かれて入社しました 。


イ:リクルートでは具体的に何をされていたのですか?
道廣:リクルートでは、人材ビジネス、特に人材紹介という転職エージェントのマーケットが急成長している時期でしたので、私は「リクルートエージェント」という転職マーケットの営業として入社しました 。


イ:その後、サイバーエージェントに移られたのですね。どのような経緯だったのでしょうか?


道廣:当時、サイバーエージェントはリクルートのお客様でした 。サイバーエージェントの役員が、私の事業提案のスタンスを買ってくださり、「こっちにおいでよ」と声をかけていただいたのがきっかけです。


イ:当時のサイバーエージェントで衝撃的だったことはありますか?


道廣:私が社会人5年目くらいの時、1年目、2年目の年次の浅い方々が子会社の経営をしていたり、インターネット広告が将来何兆円もの産業になる中でマーケットリーダーになれるチャンスがある、と皆が語っていたことに衝撃を受けました 。同じ年代で、これほど盛んにマーケットを作ることに向き合っている彼らが、とてもかっこいいと感じ、サイバーエージェントに行くことを決めました 。


イ:サイバーエージェントではどのようなお仕事を?


道廣:広告事業を中心に、広告を売る仕事、商品を作る仕事、組織作りなどを担当しました 。具体的には、広告代理店営業からメディアセールス、メディアマネタイズ、広告配信プロダクトの作成、人事など多岐にわたります 。

3. キャリアの転機(Hey/STORES)そして現在の起業へ


イ:そして、サイバーエージェントからSTORES(ストアーズ)に移られたのですね 。


道廣:はい。サイバーエージェント時代の競合企業の社長が立ち上げた「ヘイ株式会社」(現STORES)に誘われました 。サイバーエージェントという素晴らしい会社を辞める必要は全くなかったのですが、40歳になった時に、サイバーに居続けた自分と、外に出てスタートアップに行き、ひょっとしたら自分で起業しているかもしれない自分を想像した時、「おもろい」のは後者だと感じ、移ることを決めました 。


イ:まさに起業家らしい選択ですね 。これまでの経験を通して、道廣さんの中で変わったことや得たものはありますか?


道廣:もともと感情的で情熱的な人間で、「自分がやりたい」というパッションが重要だと考えていました 。リクルートやサイバーエージェントでは、「マーケットで1位を取らないと意味がない」「10億円以上の事業でなければ事業ではない」といった、ある種マッチョな哲学も学びました 。一時はその考えに傾倒しましたが、今は一周回って、たとえ規模が小さくても沖縄に貢献できている感覚や、メンバーの人生が良い方向に変わっている実感を持てるようになりました 。「規模の経済」と「意味の経済」の両方を持てるようになったのが今ですね 。


イ:道廣さんのキャリアにとって、決定的なターニングポイントとなった出来事や決断はありますか?


道廣:やはり、大元であるリクルートに入社させてもらったことが、非常に大きなインパクトがあったと感じます 。新卒の時から、会社員であり続けることは数ある選択肢の一つに過ぎないという概念を持っていました 。自分の人生を楽しくするために、会社員が良いならそうすればいいし、自分でやった方が面白いならそうすればいいというスタンスで、それを寛容に受け止めてくれたリクルートの懐の深さに感謝しています 。

4. 現在の事業:沖縄への貢献
イ:ここからは、道廣さんが現在されている株式会社Blue Mobility株式会社琉球ウェルネスについて、詳しくお伺いします。それぞれの事業の一番の面白さややりがいを教えていただけますか?


道廣:まず共通しているテーマは、沖縄に貢献することです 。妻の地元である沖縄に移住し、この地で起業して沖縄に貢献する事業がしたいと強く思いました 。沖縄のプレゼンスを高め、「沖縄ってすごいね、最高だね」と言ってもらえるようなことを目指しています。


イ:では、具体的にBlue Mobilityについてお聞かせください
道廣:Blue Mobilityはヘリコプターサービスです 。沖縄は南北に長く、那覇から国頭村まで約140〜150kmあり、これは大阪から名古屋まで新幹線に乗るくらいの距離です。しかし、沖縄には電車や新幹線がないため、皆が車で移動しなければなりません 。そこで、「ヘリコプターで一人1〜2万円で、飲食店や美容室を予約するかのごとく簡単に予約・決済して乗れたら、すごく良いのではないか」という発想からこの事業を始めました 。観光体験のアップデートを目指し、地震や津波などの災害発生時には救援活動に利用する新しい防災システムとしても貢献したいと考えています 。観光客の視点と沖縄県民の視点の両方を持つことが私の強みだと考えています 。


イ:沖縄でヘリコプターの事業、という発想がすごいですね 。ウェルネスの方はどうでしょう?


道廣:琉球ウェルネスは、ウェルネスツーリズムのサービスです 。私にとってウェルネスとは「明日が楽しみなこと」と定義しています 。東京にいた頃は「もっとやらなきゃ」「自分なんてダメだ」と自分を追い込んでいましたが、沖縄に来ると「頑張ってるよな」「ありがたい環境を与えてもらってるな」と、日常生活に対する感謝の心や自分を許せる感覚を持てるようになりました 。この「よし、また東京に帰って頑張ろう」という状態こそがウェルネスであり、それを「人生の転機となるような、ウェルネスで特別な体験」を提供する法人向けサービスとして提供しています 。
イ:その感覚、すごくよく分かります 。事業ならではの大変さや難しさもあるかと思いますが、いかがでしょうか?


道廣:はい、とてもあります 。ヘリコプターサービスもウェルネスツーリズムも、まだ沖縄では一般的な概念ではないため、お客様にイメージしてもらうのが難しいという点があります 。沖縄の観光マーケットは8500億円規模ですが、ヘリで移動するマーケットや、自己発見や組織変革のためのウェルネスツーリズムのマーケットはまだ存在しません 。そのため、いかにマーケットを創っていくかが一番難しい点です 。


イ:そのマーケットを自ら創り出すという点が素晴らしいですね 。

5. 仕事をする上で大切にしている価値観と未来の展望


イ:仕事をする上で、道廣さんが一番大切にしている価値観は何ですか?


道廣:二つあります 。一つは、仲間たちへの感謝とリスペクトです 。この挑戦的な事業にワクワクして飛び込んでくれた仲間たちに、心から感謝しています 。もう一つは、「今」を起点に考えず、「ゴール」を起点に考えることです。できない理由は無限にありますが、どうやったらできるか、そして成し遂げたい世界は何だろうと常に考えることを意識しています。


イ:迷ったり立ち止まったりすることもあると思いますが、そういう時に戻る指針はありますか?


道廣:はい、やはり「なぜ起業をするのか」という原点に立ち戻ります 。例えば、収益性の高い他の事業の誘いがあっても、ウェルネスツーリズムというコンセプトにこだわり、単なる旅行会社ではないという理由で断ることもあります 。目的がはっきりしない中で事業を行うことはしたくないので、常にその「なぜ」を問い直しています 。


イ:道廣さんの今後の目標や夢についてお聞かせください 。


道廣:今のテーマは沖縄に貢献することです 。Blue Mobilityと琉球ウェルネスは、そのための手段の一つに過ぎません 。沖縄で他にも色々な会社や事業をやってみたいと思っています 。沖縄が持つ独自の文化や精神性を、ただ体験してもらうだけでなく、「輸出」することにも挑戦したいです 。

例えば、やんばるを感じてもらえるイベントや、琉球空手の道場の輸出などですね 。また、古民家や酒造など、後継者不足で事業を続けられない地域の方々と、「バトンを渡してもいい」と思う人たちを繋ぐ事業承継のサポートもしていきたいです。ビジネス的にはマーケットが小さいかもしれませんが、沖縄の人同士、信頼できる人同士を繋ぐ機能は必要だと考えています。


イ:沖縄の魅力を国内外に発信し、次世代に繋ぐ、素晴らしいビジョンですね 。

6. これから挑戦する人々へのメッセージ
イ:最後に、道廣さんのようなキャリアに憧れている方や、今悩んでいる世代の方々にアドバイスをお願いします。

道廣:アドバイスというほどではありませんが、この時代は「情報を知っている」ことの価値が下がっていると思います。インターネットやChatGPTの普及により、情報は簡単に手に入りますから。それに対して、「やったことがある」「実際にやっている」ことの価値が上がっています。例えば、ヘリコプターについて調べることはできますが、実際に400本以上ヘリを飛ばし、那覇空港に100回以上降りた経験の価値は大きいです。一番若い「今」から早くやり始めることが、何よりも重要だと伝えたいです。

7. 終わりに
イ:道廣さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、ご自身の活動について告知をお願いします。


道廣:はい、ありがとうございます。株式会社Blue Mobilityでは、沖縄スカイクルージングというヘリコプターの周遊体験サービスを提供しています 。6月に開始し、大変好評をいただいており、年内(12月末まで)は恩納村上空のフライトを9,800円でお楽しみいただけます 。Googleマップで「沖縄スカイクルージング」と検索していただくか、ウェブサイトからご予約いただけますので、ぜひ体験してみてください。本当に感動する景色が広がっているので、ポジショントーク抜きでおすすめします 。


イ:道廣さんの沖縄への熱い思いと、新たな価値を創造する挑戦に深く感銘を受けました。本日は誠にありがとうございました。


関連記事

TOP