番組概要
NPO法人Mirai Kanaiがお届けするラジオ番組「ミラクルモンスター(通称:ミラモン)」。ユニークな経歴や珍しいお仕事をしている方をゲストにお招きし、その道のりや考え方、夢中になっていることをとことん深掘りして、リスナーの皆さんと一緒に勝手に応援していく番組です。さまざまな大人の働き方や生き方を通して、子どもたちや若い世代へ未来の選択肢や夢のヒントを届けるキャリア教育も目的としています。
本日のゲスト紹介
大城さつき(おおしろさつき)さん 肩書き: 株式会社hareruya 代表取締役 / ケアマネジャー 沖縄県沖縄市にて株式会社hareruyaを経営。ケアマネジャーとしての支援を中心に、病院への付き添いサービス、仕事と介護の両立を目指す介護離職防止支援、さらに家族の有無にかかわらず地域で支え合う『ツエトテ(杖と手)』構想など多角的な取り組みを展開されています。 リンク: 株式会社hareruya 公式Webサイト | 大城さつき 公式Facebook | 公式Instagram|大城五月webサイト|x

ゲストプロフィール
幼少期を沖縄県西原町の祖父母の家で過ごし、高齢者のいる暮らしの中で育つ。24歳で第二子出産後、生活苦から訪れたハローワークで職業訓練(ホームヘルパー)と運命的に出会い福祉の道へ。ヘルパーから現場経験を積み、介護福祉士、ケアマネジャーへとステップアップ。長男の不登校や家庭と仕事の両立の葛藤を経て、2016年に独立し株式会社hareruyaを設立。ケアマネ事業を軸に保険外サービスや『ツエトテ』構想を提唱。「令和10年3月までに一人じゃないと思える世界をつくる」というビジョンを掲げ挑戦を続けている。
インタビュー本編
【キャリアの原点・ターニングポイント】生活苦から一転、ハローワークで出会った運命の福祉職
イ(インタビュアー):さつきさん、本日はよろしくお願いします!ケアマネジャーとして独立し、さまざまなプロジェクトを展開されていますが、そもそも介護の世界に入られたきっかけは何だったのでしょうか?
大城:よろしくお願いします!実はケアマネジャーってすぐになれるわけではなくて、介護福祉士などの国家資格を取ってから3年の実務経験が必要なんです。私の原点を遡ると24歳の時でした。当時、第二子を出産したばかりで生活がすごく苦しかったんですよ。生後数週間の赤ちゃんを抱えて働ける場所がなくて、どうしようと困り果ててハローワークに行ったら、たまたま職業訓練があったんです。
イ:ハローワークの職業訓練ですか!そこが運命の出会いだったんですね。
大城:そうなんです!職業訓練を受けると給付金が出ますし、子どもを預けることもできる。資格を取って働けるので、私にとっては「一石三鳥」くらい魅力的でした。その時脳裏に浮かんだのが、幼少期にお世話になったおじいちゃん・おばあちゃん家に来ていた介護の人たちの姿でした。すごく明るく接してくれていたのを思い出して、「私もあんな尊い存在になれるのかな」という憧れと期待、そして生活への切実な思いが重なって飛び込みました。
イ:生活の苦しさやお子さんとの暮らしを守る必死な思いと、子供時代の温かい記憶が結びついた瞬間だったんですね。そこからどのようなステップを踏んでいかれたのですか?
大城:まずは訪問ヘルパーから始まりました。お風呂やおトイレの介助、食事や掃除のお手伝いですね。そこから現場で実務経験を何年も積んで介護福祉士の国家資格を取り、さらに勉強してケアマネジャーの資格を取得しました。勤めていた会社も理解があって、その後さらに二人出産して合計5人の子どもを育てながら必死で働き続けました。ヘルパーの責任者からケアマネ部署へ移動し、法人が大きく成長する時期に窓口として駆け回っていました。
イ:5人のお子さんを育てながらそこまでのキャリアを築かれるなんて凄まじいパワフルさです!そこから独立を決意されたのには、どんなターニングポイントがあったのでしょうか?
大城:大きなきっかけは二つあります。一つはケアマネジャーとしての葛藤です。法人内に施設やデイサービスがあると、どうしても自社のサービスを案内しがちになります。でも本質的にはもっと多くの選択肢から本当にその人に合った提案をしたかった。もう一つは、当時小学校5・6年生だった長男の不登校です。当時の私は早朝から夜遅くまで激務で、幼い末っ子を保育園の最後に迎えに行って家事をして……不登校の子どもにじっくり向き合えず、強い罪悪感を抱えていました。「独立して自宅兼事務所にすれば、子どもと一緒に居られる時間が増えるかもしれない」と考えたんです。
イ:お仕事への誠実な情熱と、母親として子どもに寄り添いたいという切実な想いが重なっての独立だったのですね。周囲の反応はいかがでしたか?
大城:当時はシングルマザーで4人の子(のちに5人)を抱えていたので、「せっかく良い会社にいるのに、なぜわざわざ独立するの?共倒れになったらどうするの」と家族や周囲からは心配され、反対もされました。当時の業界ではケアマネだけの独立型事業所は採算が合わないと言われていた時代でしたから。でも、2015年冬に決意して翌2016年2月に法人を設立しました。あのハローワークでの出会いと、この独立という決断がなければ、今の私は絶対にいませんでしたね。
【学生時代と初期の葛藤】バイトに没頭した青春時代とコールセンターで培ったコミュニケーションの原点
イ:幼少期や学生時代のお話ももっと伺いたいのですが、さつきさんは子どもの頃、どんなお子さんだったのですか?
大城:物心ついた頃から西原町池田の自然豊かな田舎で、おじいちゃんおばあちゃんと暮らしていました。母親はシングルマザーで昼も夜も働いてくれていたので。周りに同世代の友達があまりいなかったので、アリの観察をして「アリを食べたら声が甘くなるのかな」なんて試したり(笑)、お母さんが買ってくれた絵本の世界と現実を行き来するような、想像力をたくさん使う子どもでした。
イ:絵本の世界で想像力を膨らませていたのですね!高校時代や、社会に出て最初に経験されたお仕事についても教えてください。
大城:高校時代からはバイトにめちゃくちゃハマりました!マクドナルド、お中元の包装、コープの惣菜コーナーなど色々やって、大人と対等に扱ってもらえるのが嬉しくて、授業の出席だけ出してすぐバイトに駆けつけるほど働くのが楽しかったんです。でも、専門学校を出て携帯会社の総務部に就職したら、バイトとは違う社会人の重い責任感や窮屈さを感じて、1年ほどで辞めて結婚しました。
イ:そこから結婚・出産を経て、働くことに対する壁にぶつかられたそうですね。
大城:そうなんです。結婚後に働こうと思っても、面接の感触はすごく良いのに、最後の最後に「お子さんが熱を出したら誰が迎えに行きますか?」と聞かれて不採用になる日々が続いて……。「私って働けないんだ」という強い喪失感を味わいました。お金もない、働く選択肢も選べない中で、唯一働くことができたのがコールセンターのテレアポ(電話営業のアポ取り)でした。
イ:子育て中の女性が直面する社会のリアルな壁ですね……。そのコールセンターでの経験は、今の活動にどのように繋がっていると感じますか?
大城:顔が見えない電話でのやり取りは、声だけが頼りです。専門学校で学んだビジネスマナーをベースに、相手の雰囲気を察するキャッチ能力、言葉選び、間の取り方、声のトーンなどを必死に磨きました。高齢者やご家族のお困りごとを深く聴き取る今のカウンセリングや対話の仕事に、間違いなくあの時のスキルが活きていると感じます。
イ:どんな泥臭い経験も、すべて今のさつきさんの大きな糧になっているのですね!
【現在の仕事の魅力とやりがい】関わる人の明日を晴れやかに――人生の物語に最後まで伴走する喜び
イ:現在運営されている株式会社hareruya(ハレルヤ)という社名、とても素敵ですが、ここにはどのような想いが込められているのでしょうか?
大城:時々「クリスチャンですか?」と聞かれるのですが(笑)、「人生ハレルヤ!」「明日は晴れるや」「晴れやかな気持ち」という言葉から名付けました。ケアマネジャーとして親御さんの介護に初めて直面し、不安でいっぱいだった息子さんと1時間じっくりお話をしたことがあって。話が終わる頃にパッと顔が明るくなって、「霧がかかっていた頭の中が晴れやかになって、雲がなくなっていくようです」と言っていただけたんです。
イ:雲が晴れていくような感動的な瞬間ですね!誰かの不安を晴れやかにできるお仕事、本当に素晴らしいです。
大城:本当に嬉しかったです!介護が必要になった高齢者の方々は、加齢や病気・障害によって「これまで出来ていたことが出来なくなる」という喪失感を抱え、自己肯定感が下がったり社会から孤立しているように感じたりされています。そこに新しい制度やサービスの選択肢を提案し、その方が自分で決断して再び前を向いて歩んでいく姿を見られるのが最高の喜びです。
イ:関わった方が「本来のその人らしさ」を取り戻していくプロセスですね。
大城:その通りです!一人の人間が歩んできたこれまでの人生ドラマを知り、これからの生き方に寄り添い、時には人生の最後の幕が下りる瞬間まで近くで見守ることができる。こんなに深く人と関わり、感謝されるお仕事は他にないと思っています。関わる人や一緒に働くスタッフの明日と笑顔を晴れやかにできたと実感できる瞬間が、私の最高のやりがいです。
【仕事の大変さと乗り越えた壁】制度の限界とシャドーワーク、そして本人の意志に寄り添い続ける葛藤
イ:深くて温かいやりがいがある一方で、このお仕事ならではの大変さや壁を感じるのはどんな時ですか?
大城:専門知識があるからこそ、ケアマネ側には「こうすればもっと安全で楽になるのに」という見通しが立つんです。でも、ご本人がすぐにはそれを選ばず、敢えて厳しい道を選ぶことがあります。既存の制度やサービスだけでは解決できない壁や、家族・支援者・地域の想いが噛み合わない歯がゆさ、「誰が悪いわけでもないのにどうして」と悩む瞬間は本当に多いです。
イ:専門職としての歯がゆさと、本人の自己決定権との間で葛藤されるわけですね。具体的なエピソードはありますか?
大城:脳出血を起こした50代独居男性のケースがありました。病院や周りは「一人暮らしは絶対に無理だから施設入所前提で」と依頼してきたのですが、ご本人は「自宅に帰りたい」と強く希望されていたんです。私はご本人の意志を尊重し、自宅で暮らせるようあらゆる調整をしました。でも案の定、転んで起き上がれなくなったり、台風でサービスが全休になって焦ったりと、何度も困難が起きました。
イ:台風や転倒のたびに呼ばれたり対応したり……業務外のサポート(シャドーワーク)も凄まじかったのではないでしょうか?
大城:まさにシャドーワークだらけでした!周りからも心配や批判の声が上がりますし、一人の人間の生活と命が自分にかかってくるプレッシャーはすごく重かったです。それでも1年間、本人の「家で暮らしたい」という情熱に付き合い続けました。すると1年後、ご本人がポツリと「大城さん、もう家は十分満足したから、老人ホームを探してくれるかな」と言ってくれたんです。
イ:ご自身がとことんやりきったからこそ、納得して次のステップへ進まれたのですね!
大城:そうなんです!誰かに強制されたのではなく、自分の意志で決断したからこそ、その後の顔つきも前向きでした。本人が納得するまでとことん付き合うのは体力的にも精神的にもキツいですが、その人の可能性と推進力を信じて伴走し続けることが、私たちの本当の役割だと思っています。
【大切にしているモットーと価値観】自分に正直に生きる――未来の自分からのメッセージと影響を受けた作品
イ:さつきさんがお仕事や生き方において、最も大切にされているモットーや信念は何ですか?
大城:「自分に正直に生きる」ことです。だからこそ相手に対しても「その人が大切にしているもの」を尊重したいですし、後悔のないよう選択肢をたくさん提示したい。事前アンケートでもお答えしましたが、「楽しくなければ意味がない」「一度きりの人生、やりたいことは全部やる」というのも大切なモットーです。松下幸之助さんの「雨が降れば傘をさす」という言葉のように、起きた出来事を素直に受け止め、今必要な支援をシンプルに行うことを心がけています。
イ:「雨が降れば傘をさす」、シンプルですが深い教えですね。大きな悩みにぶつかったり、立ち止まったりした時はどう乗り越えられているのですか?
大城:私には秘密の指針があって、「将来の私(おばあちゃんになった自分)から今の自分を見る」という方法をとっています。シングルマザーで仕事と子育てに追われ、深夜にてんこ盛りの家事をしながら泣いていた時期がありました。「もう嫌だ!」と叫びたくなった時、ふと「子どもたちが全員独立し、おばあちゃんになって一人でぽつんと部屋にいる将来の私」を想像したんです。そうしたら、「子どもたちが小さくて賑やかだったあの日々が、人生で一番愛おしくて最高の日だった」と思い返すに決まっていると気づいたんですよ。
イ:未来の自分視点!発想の転換が素晴らしいです。幼少期に絵本で培った想像力が、ここでも活きているのですね。
大城:そうなんです!未来の自分が今の自分を応援してくれていると思うと、やる気しか湧いてこないんですよ(笑)。それから、インスピレーションを受けた作品としては、小1の時に読んだ『白旗の少女』や、介護の原点とも言える絵本『だいじょうぶ だいじょうぶ』、ミヒャエル・エンデの『モモ』、『星の王子さま』などがあります。音楽ではDREAMS COME TRUEの『何度でも』、back numberの『水平線』、そして人生のテーマ曲として米津玄師さんの『かいじゅうのマーチ』にいつも力をもらっています。
イ:ご自身の誕生日に、SNSの「いいね」の数に応じた図書カードとそれらの本を沖縄の困窮世帯の子どもたちへプレゼントされたというエピソードも感動的でした!
大城:「おめでとう」と言ってもらった感謝をお裾分けしたくて勝手にやったのですが、子どもたちの喜ぶ写真や動画が届いて、私の方が大きなプレゼントをもらいました。本や絵本との出会いが、一人でも多くの子どもたちの生きる希望になれば嬉しいですね。
【未来への展望と挑戦】一人じゃない世界をつくる――令和10年3月までの覚悟と『ツエトテ』構想
イ:さつきさんがこれから挑戦したいこと、未来に向けて達成したい大きな目標についてお聞かせください!
大城:今、私が固く腹をくくっている目標があります。それは「一人じゃないと思える世界をつくる」ことです。私自身、周りからは「さつきさんだからできる」「恵まれている」と言われますが、元々は自己肯定感がすごく低くて、「明日なんて来なければいい」「自分がいない世界の方が迷惑をかけないのでは」と本気で悩んだ夜が何度もありました。私はそれを「自分はできる」という自己効力感で無理やりカバーして突き進んできたんです。
イ:強そうに見えるさつきさんにも、そこまでの葛藤と葛藤があったのですね……。
大城:だからこそ、孤立して悩んでいる人に「一人じゃないよ」と伝わる仕組みを作りたいんです。特に高齢者分野では、身寄りがない方や家族がいても頼れない方が、緊急連絡先がないために望む暮らしを選べない現状があります。そこで制度や家族だけに頼るのではなく、地域の人・企業・専門職の「できること」を繋ぎ、家族の有無に関わらず誰もが安心して暮らせる仕組み『ツエトテ(杖と手)』構想を沖縄から形にしていきます。
イ:『ツエトテ』構想!杖と手を取り合って支え合う、温かい地域の未来設計図ですね。
大城:はい!これを【令和10年(2028年)3月までに絶対に達成する】と決めています。そして、これからは「一人でやらない」と決めました。これまでは何でも一人で抱え込んでやってしまいがちでしたが、この大きな世界観は一人では作れません。目標を明確に打ち出して仲間を募り、みんなで一緒に作り上げていきます!
【若い世代へのメッセージ】自分を信じて一歩を踏み出そう――「大丈夫、あなたならできる!」
イ:熱いビジョンをありがとうございます!最後に、将来の進路や生き方に悩んでいる若者や子どもたちへメッセージをお願いします。
大城:一言、「大丈夫だよ!」と伝えたいです。周りと比べず、まずは自分に正直になって、やりたいことに挑戦してみてください。もし今、一人で孤立して悩んでいるように感じていても、ちょっとだけ視野を広げて周り(斜め後ろなど)を見てほしいんです。必ずあなたを見守り、手を差し伸べようとしてくれている人がいます。
イ:助けを求める勇気も大切ですね。
大城:「助けて」と声をかけるのは勇気がいりますが、頼られたら喜んで手を貸してくれる大人は絶対にいます。私自身もこれからも泥臭く挑戦し続けますので、ぜひ見ていてください!「自分を信じて、周りを信じて、一歩踏み出してみよう。きっと大丈夫、あなたならできる!」と一緒に進んでいきましょう。
イ:勇気とパワーがあふれ出るメッセージをありがとうございました!今後のイベントや告知があればぜひ教えてください。
大城:ありがとうございます!主な活動報告は大城さつき 公式Facebookや大城さつき 公式Instagramで行っています。会社の詳細は株式会社hareruya 公式Webサイトをご覧ください。そして11月11日、そう「介護の日(いい日いい日)」にワクワクするような新たなリリースを予定していますので、ぜひチェックしてください!さつきさん、本日は本当にありがとうございました!
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